将棋AI開発者が語る「藤井聡太五冠」の秘めた世界 AIが自らの一手を言葉で説明する時代がくる

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「AIの研究が進むことで、人間への理解も深まる」。将棋AIの先頭を走る山岡忠夫氏が見据える人工知能の可能性とは。

将棋AIで先頭を走る山岡忠夫氏は、将棋アプリ「将棋ウォーズ」のサービスを提供するHEROZに勤めるエンジニアだ(記者撮影)

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AI(人工知能)は将棋界を一変させた。トップ棋士の藤井聡太五冠はAIを活用し、深く研究することで、「人間が指す将棋の常識、固定観念にとらわれない異次元の妙手を繰り出している」と言われる。
その藤井五冠が研究ツールとして愛用するのが、HEROZのAIエンジニア、山岡忠夫氏(本名・川島馨)が開発した「dlshogi」だ。盤面の画像からAIが単独で学習を重ねるディープラーニング系のAIソフトで、この技術を取り入れて開発されたHEROZ社の将棋ソフト「GCT電竜」は、2020年、2021年のオンライン将棋の世界大会「電竜戦」で連続優勝を果たしている。
将棋AIのトップ開発者である山岡氏に、AIは今後、将棋をどう変えていく可能性があるのかを聞いた。

囲碁AIの技術を将棋に応用

――山岡さんと言えば、藤井聡太五冠が研究ツールとして使用していることを公言している将棋AIソフト「dlshogi」の開発者として知られています。

2016年、グーグルディープマインドが開発した囲碁AIソフト「AlphaGo」(アルファ碁)と韓国のトップ囲碁棋士の李世ドル(イ・セドル)氏の対戦をYouTubeでみていて、その結果(アルファ碁が4勝1敗で勝利)に衝撃を受けた。当時、AIが囲碁で人間を超えるまでには「まだ10年くらいかかる」と言われていたが、第1局からいきなり囲碁AIが勝つという、予想外の結果になった。

アルファ碁で使われていた技術が、ニューラルネットワーク(人間の脳神経の仕組みを数理モデル化したアルゴリズム=計算手順)だ。囲碁の盤面を入力して、そこからAIが自分で判断しながら指し手を決める仕組みにすごく興味をひかれた。

将棋ではまだその技術が試されていなかった。汎用的な技術でもあるし、小学生の頃、将棋に親しんでいた自分には囲碁より将棋のほうが馴染みはあったので、将棋でニューラルネットワークを活用したAIソフトを開発しようと思った。

――山岡さんは藤井五冠との交流はあるのですか?

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