「AIの研究が進むことで、人間への理解も深まる」。将棋AIの先頭を走る山岡忠夫氏が見据える人工知能の可能性とは。
囲碁AIの技術を将棋に応用
――山岡さんと言えば、藤井聡太五冠が研究ツールとして使用していることを公言している将棋AIソフト「dlshogi」の開発者として知られています。
2016年、グーグルディープマインドが開発した囲碁AIソフト「AlphaGo」(アルファ碁)と韓国のトップ囲碁棋士の李世ドル(イ・セドル)氏の対戦をYouTubeでみていて、その結果(アルファ碁が4勝1敗で勝利)に衝撃を受けた。当時、AIが囲碁で人間を超えるまでには「まだ10年くらいかかる」と言われていたが、第1局からいきなり囲碁AIが勝つという、予想外の結果になった。
アルファ碁で使われていた技術が、ニューラルネットワーク(人間の脳神経の仕組みを数理モデル化したアルゴリズム=計算手順)だ。囲碁の盤面を入力して、そこからAIが自分で判断しながら指し手を決める仕組みにすごく興味をひかれた。
将棋ではまだその技術が試されていなかった。汎用的な技術でもあるし、小学生の頃、将棋に親しんでいた自分には囲碁より将棋のほうが馴染みはあったので、将棋でニューラルネットワークを活用したAIソフトを開発しようと思った。
――山岡さんは藤井五冠との交流はあるのですか?
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