ゴールデンウィークが「最後の宴」となったわけ 物価高が負担、年後半は内需中心に景気下振れ

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むろん、景気ウォッチャー調査でもインフレを懸念したコメントが多数あったが、食料品や電気代の値上げの影響を判断するのは家計である。インフレ懸念の影響についても消費動向調査を信じたほうが無難だろう。エネルギー価格の変化は半年程度のラグを持って電気代・ガス代に反映されることを考慮すれば「今後半年間」は家計の負担は増え続けることがほぼ確実な状況である。

以上を勘案すると、景気ウォッチャー調査の結果はやや楽観的になっている可能性が高い。インフレ懸念が続く間は家計を対象とした調査を重視すべきである。

7~9月期は再びマイナス成長へ

エコノミストのコンセンサス予想である「ESPフォーキャスト」5月調査(回答期間:4月28日~5月11日)によると、日本の実質GDP(国内総生産)成長率の見通しは、4~6月期が前期比年率プラス5.18%、7~9月期が同プラス3.11%、10~12月期が同プラス2.04%という数字の並びである。4~6月期が成長のピークというのが、すでにコンセンサスとなっている。だが、7~9月期以降も高い成長が予想されており、「最後の宴」という雰囲気はまだない。

筆者は現時点で4~6月期、7~9月期、10~12月期の成長率見通しを、それぞれ前期比年率プラス5.2%、同マイナス0.3%、同プラス0.7%になると予想している。コンセンサス予想も下方修正されるリスクが高いとみている。

なお、今回注目した個人消費以外の項目については、外需には下方修正リスクが大きい。筆頭はゼロコロナをめぐって経済が混乱している中国向けの輸出である。水際対策の緩和によっていよいよインバウンド需要の回復が見込まれるという明るい材料もあるが、当面はマイナス要因が多いように思われる。

コロナ前のGDP水準への復帰がようやく見えたところで、再び、日本経済は停滞局面に入っていくことになりそうだ。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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