デフレ脱却が見えた日本株は過小評価されている アメリカ株の乱高下に惑わされてはいけない

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もちろん、まだネガティブ要因は存在する。その1つが、MSCI指数における日本株の採用銘柄数が減っていることだ。MSCI指数とは、アメリカのモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出・公表する株価指数で、これをベンチマークとする世界の運用資産総額は約2000兆円に及ぶ。

MSCIは2・5・8・11月の年4回、構成銘柄の定期見直しをして採用銘柄を入れ替える。とくに5月と11月は、大規模な入れ替えが行われることで知られる。

日本株は2020年5月までは新規採用と除外がほぼイーブンで、採用銘柄数は減らなかった。だが、同年11月に新規採用5・除外21の純減となってからは、2021年5月は新規ゼロ・除外29、同年11月は新規2・除外5、そして今回5月の入れ替えも採用ゼロ・除外22と、日本株の採用銘柄数は減り続けている。

保守的予想をどう見るか、外国人投資家の動向に注目

世界の高インフレを心配するほどの景気回復に対し、デフレ脱却で周回遅れの日本としてはやむをえないかもしれないが、この流れを変えられるか、正念場に差しかかっているといえよう。

直近の需給を見ると、東証・財務省ベースでも外国人投資家は6週連続の買い越しとなっている。日本の復活を期待した買いなのか、単なる季節的現象なのか、なお不透明感はぬぐえないものの、確実に何かが変わる気配は感じる。

今回の反発は、大型連休明けに日経平均が終値で二番底と目されていた4月の安値2万6334円をブレークされ、25日と75日移動平均線がデッドクロスし、一瞬下値のメドが見えなくなった段階での今回の反発を「反転のシグナル」として期待する向きは多い。

今週も、それが試される重要イベントがある。まずは16日の中国4月工業生産・小売売上高だ。ロックダウン下の景気指標がどうなるか、世界が注目している。

そのほか、前月より低下が予想されるアメリカ5月NY連銀製造業景況指数もある。17日は同じく同国の4月小売売上高、4月鉱工業生産・設備稼働率と続く。また18日には日本の1~3月期GDPが発表になるが、年率換算でマイナス成長が予想される。

さらに、これまでの企業決算集計では、前期の最終利益が約36%増、今期予想が約3%増となっているが、これから個別企業の保守的為替レートを踏まえたアナリストレポートが一斉に出てくる。銘柄選択に忙しく、そして面白い5月後半相場が始まりそうだ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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