デフレ脱却が見えた日本株は過小評価されている アメリカ株の乱高下に惑わされてはいけない
13日の上げについて、兜町筋は「怒りの反発」だと息巻いている。もともとは12日のソフトバンクグループの2022年3月期の最終損益が1兆7080億円と過去最大の赤字となったにもかかわらず、13日の同社株が10%を超す上昇で始まったことがきっかけだ。
だが、兜町筋に言わせれば、円安で日本への投資は一段と割安感が高まっており、官邸周辺は岸田文雄首相に市場へのネガティブコメントを封印させ、直近はロンドンで「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」とまで言わせている。それでも日本の相場環境があまりに評価されないことで、市場の鬱憤がついに爆発したともみられている。
また、11日に発表されたアメリカ4月のCPI(消費者物価)は前年比+8.3%と、3月の+8.5%を微妙に下回った。またPPI(生産者物価指数)も前月比+0.5%と、3月の+1.4%を大きく下回った。さらに4月の輸出入物価も前月比横ばいと、3月の+2.6%を下回った。アメリカのインフレ懸念はなおくすぶっているが、日本株の反発はこうしたアメリカ物価上昇の微妙なピークアウト感を先取りしたのではないかともいわれている。
日本株の環境は決して悪くない
実際に日本株の環境は決して悪くない。13日に日本銀行から発表された4月のマネーストック(通貨供給量)によれば、M3(現金や銀行などの預金)の月中平均残高は1556兆5000億円で、過去最高となった。
終わりかけている世界の需給相場の中で、日本の需給は別次元だ。13日は日本企業の3月期決算発表のピークで1200社以上の発表があったが、自己株買いや消却が圧倒的に多かった。
目についた企業だけでも、ユアサ商事、ENEOSホールディングス、大成建設、住友倉庫、日本郵政、日本光電、熊谷組、百十四銀行、CARTA HOLDINGS、ワコールホールディングス、三井不動産、KDDI(順不同)など、挙げればきりがない。
このように、カネの量が増え、自己株買いや消却で株の量が減っているのだ。「なぜこれからようやくデフレ脱却を迎える日本市場が、売られなければならないのか」という市場の怒りではないか。
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