大京の大胆戦略、「ライオンズ依存」から脱却 マンション開発業者が高齢者施設にも食指
現在、マンション販売は年間3000戸程度に過ぎない。2014年3月期は不動産開発以外の事業(管理や仲介など)の売上高が、全体の50%を超えた。
今年はさらに、ストック事業の拡充にアクセルを踏み込む。マンション管理の受託戸数は過去最高の52万戸を突破したが、一層の上積みを狙い、開発から管理へ人員シフトを順次進める。管理を中心とするストック事業の社員数は2014年9月時点で1万1000人超と、同年3月に比べて400人以上も増やした(臨時社員を含む)。
三井不動産や三菱地所など、経営の多角化を主眼にマンション仲介やリノベーション(大規模改修)を推進する大手不動産会社は少なくない。それでも、ここまで明確にストック事業へ舵を切るデベロッパーは極めて珍しい。
既存の顧客を囲い込む
今回発表したサ高住事業も、ストック重視戦略の一環だ。東京・中野区では初めてのサ高住となる「かがやきの季・中野南台」(全28戸)の入居を2月1日から開始する。大京と個人が共同で所有する社員寮を、バリアフリー化などサ高住の登録基準に適した建物に改修したもので、提携先のウイズネットが介護サービスや生活相談をサポートする。各部屋にはテレビ電話を導入し、「見守りサービス」も実施する。
サ高住の需要は底堅いとにらみ、大京は今後10年で60棟の稼働を目指す。将来的には訪問介護所運営などのサービスを自前で展開することも視野に入れる。「売上高140億円規模の事業に育成していきたい」と、同社の杉田昌之・事業戦略室長は意気込む。
サ高住の展開によってライオンズマンションの顧客を囲い込む、という側面もある。ライオンズマンションの第1号物件が東京・赤坂に竣工したのは1968年。その時点で入居した顧客が当時35歳とすれば、現在は80歳を超える計算になる。
「高齢のお客様の中には、ひとりで住むことが難しい方も出てきている。そういった方へのマンションも必要だ、というのが最初の発想だった。『あらゆるライフステージに応える住まいとサービスを提供し、住文化の未来を創造していく』というのが当社の経営理念であり、今回のサ高住はその理念に沿ったサービスメニューだ」と、杉田室長は語る。
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