NHKにも影響?BBC「受信料制度見直し」の意味 イギリス政府の白書が示した放送業界の激変

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BBCや受信料制度支持者、先の識者たちが制度の廃止あるいは大改変を認めた、というわけではない。しかし、昨今のメディア消費環境の大変化を無視することはできない。その変化はさらに勢いを増し、現状維持という選択肢はないという認識が共有されつつあり、批判の嵐は再来しなかった。

放送業者を囲む環境の大変化

「次のスタート:放送業界のための政府の構想」と名付けられた白書の概要を紹介してみたい。

「イギリスのクリエイティブ経済は世界的なサクセス・ストーリーだ。わが国の公共サービス放送はその成功の脈動する心臓に相当する。国内および世界中で愛される、すばらしいイギリスのコンテンツを制作している。政府は放送業者がそうあり続けるようにしたい」(概要の冒頭)

「公共サービス放送(PSB)」とは、イギリスの主要放送局BBC 、ITV、チャンネル4、チャンネル5などを指す。この枠組みに入ると、「商業的な利益を得ることを目的とするのではなく、公共のためにサービスを提供する事業体」として、「番組内容に多様性を持たせる」「ほかでは視聴できないオリジナルの番組を一定本数放送する」「ニュース番組は不偏不党であること」などの順守義務がある代わりに、チャンネルの割り当て順番を優先化される。

白書は冒頭で「イギリスの主要放送局を支援する」と言い切っている。それは、大きく変わるメディアの消費環境の中で、放送業者がいかに生き残っていくかを考える時が到来したからだ。白書はイギリス放送局にとっての「ネット時代の生き残り策」を描いてみせた。

白書が紹介するメディア消費の大きな変化を見てみよう。

1日当たりの動画の視聴時間は2017年の4時間49分から2020年の5時間40分に増大する中、放送局の番組を放送時に視聴する時間の割合は74%(2017年)から61%(2020年)に減少。今年3月時点では半分弱となった。逆に、有料制の動画サービスの視聴時間における割合は2017年の6%から2020年の19%に増加した。

約半分の視聴者がネット上の動画視聴をテレビや、映画コンテンツを楽しむ際の主要のプラットフォームとして利用するようになったという。

ディスプレイ広告市場ではテレビ放送の広告の比率が2015年までは約40%を占めていたが、2020年には27%まで下落。広告主がますますネットに移動している。

79%の世帯がネットに接続されたテレビを所有し、より幅広いコンテンツにアクセスするようなっており、ラジオ番組を含む音のコンテンツをネットで提供するサービスが「過去3年で飛躍的に伸びている」。ほんの5年前に導入されたスマートスピーカーに成人の30%がアクセスするようになったという。

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