権勢誇った「二階氏」が今、窮地に直面している訳 派閥から退会者続出、選挙区の継承にも暗雲
まず政界に波紋を広げたのは、片山さつき参院議員(元女性活躍担当相)をめぐる除名騒動。片山氏は2021年末に二階氏に退会を申し出て了承されたと主張したが、二階氏はそんな事実はないとして、2022年2月に片山氏を除名処分とした。
片山氏は最大派閥の安倍派に入会し、次期参院選で東京選挙区からの出馬を狙ったとの見方もあり、それが二階氏の逆鱗に触れたとされる。
さらに、衛藤晟一元沖縄北方担当相(参院比例)も4月8日付けで派閥を離脱した。周辺には「二階さんはもう政治家として終わった」などと漏らしているとされ、もともと安倍氏側近でもあった衛藤氏だけに、二階氏を見限って最大派閥の安倍派入りを狙っているとみられている。
これにより二階派の所属議員は42人となり、党内5大派閥の最小勢力の立場が一段と鮮明に。しかも、くしの歯が抜けるような退会者続出が、二階氏の威信を急速に低下させていることも否定しようがない。
二階氏の政界引退の際の後継者と目されるのは、武田良太元総務相。今のところ二階氏とも意を通じているようにみえるが、武田氏は菅氏とも極めて親密で、「場合によっては多くの手兵を連れて派閥を割って菅グループに加わるのでは」(自民幹部)との憶測も絶えない。
二階派内にあつれきが生じた2021年9月の総裁選
そもそも、他党からの転向組などを次々と自派閥に取り込む手法には、党内の他派閥が「強引だ」と反発、「思想信条もバラバラな寄せ集め集団」などの批判も絶えなかった。それだけに、現在の二階派の窮状にも、党内他派閥からは「自業自得」との厳しい声が相次ぐ。
二階派内にあつれきが生じたのは2021年9月の党総裁選がきっかけとされる。この総裁選で二階氏は、“泡沫候補”扱いだった現在の野田聖子内閣府特命相(こども家庭庁担当など)に派内から8人の推薦人を出した。
これに反発したのが片山、衛藤両氏で、いずれも高市早苗氏(現政調会長)の推薦人に名を連ねた。このため「無条件で二階氏の判断に従う」という二階派の“鉄則”は崩れ、今回の両氏の退会にもつながった。
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