権勢誇った「二階氏」が今、窮地に直面している訳 派閥から退会者続出、選挙区の継承にも暗雲

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二階氏は2016年8月に当時の谷垣禎一幹事長の自転車転倒事故負傷による辞任を受けて幹事長に就任。その後の安倍、菅両政権で自民の最高権力者に昇りつめ、政局運営の中枢として豪腕を振るってきた。

とくに、安倍首相の総裁3選を主導する一方、2019年以降の「ポスト安倍レース」では、安倍4選に言及しながら、安倍氏のライバルの石破茂元幹事長を「期待の星」と持ち上げるなど、変幻自在の二階流を駆使。2020年夏の安倍氏の退陣表明時には、電光石火で「菅後継」をまとめ上げた。

こうした実績から、二階氏は、安倍・菅両氏、麻生太郎副総裁をしのぐ「最強のキングメーカー」として権勢を誇示。岸田政権発足後も、党内反主流の旗頭として、党内ににらみをきかせてきた。

岸田氏が高い支持を集める中で存在感が急速に低下

しかし、岸田首相が2021年10月の総選挙で圧勝し、その後の政局運営でも、売り物の「聞く力」と、コロナやウクライナ危機への機敏な対応で国民的評価を獲得。今年4月に政権半年を迎えた時点で内閣支持率も就任後最高水準となり、参院選勝利による長期安定政権が確実視される状況となったことで、二階氏の存在感が急速に低下した。

二階氏は、2012年12月に、当時の伊吹派(志帥会)会長だった伊吹文明氏の衆院議長就任で派閥を継承して二階派が誕生。その後は、政界の師とする故田中角栄元首相の「数は力」を念頭に、派閥拡大に邁進。党内に居場所のない無派閥議員や旧民主党から自民入りを目指す議員らを次々派閥に入会させ続けた。

もちろん、二階氏の力の源泉は、幹事長として選挙での公認調整や資金供与、さらには党内閣人事で行使してきた絶大な権力だった。しかし、「二階外し」を掲げて誕生した岸田政権で力を失ったことで求心力は一気に低下。ここにきて、退会者が相次ぐ事態となった。

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