国民の抑圧を続けるミャンマー国軍から、日本の防衛省が留学生を受け入れることになった。制裁を続ける欧米とは異なる日本政府の姿勢に問題はないのだろうか。
防衛省はこのほど、軍事クーデターを起こしたミャンマー国軍の士官候補生4人を防衛大学校などで留学生として新たに受け入れる方針を決めた。
4月26日の衆議院・安全保障委員会で、立憲民主党の徳永久志議員の質問に対して、岸信夫防衛相が明らかにした。
ミャンマー国軍からの留学生受け入れは、同国で民政移管が進んだ2015年度に始まり、国軍がクーデターで政権を掌握した2021年2月1日以降も続けられている。欧米諸国がミャンマー国軍関係者や国軍関係企業への制裁を強めているのとは対照的に、日本がミャンマー国軍との関係を重視していることを物語っている。
新たに4人の留学生を受け入れ
岸防衛相によれば、2022年度に新たに受け入れる留学生は4人。防衛大学校で2人を受け入れるほか、陸上自衛隊教育訓練研究本部で1人、航空自衛隊幹部学校で1人となっている。クーデター後の新規受け入れは2021年度に続き、2度目となる。
防衛大学校の教育課程には、小銃の射撃など実戦訓練も含まれている。留学生には、学習・生活費を補う資金も支給される。4人を含めると、防衛大学校など防衛省関係機関での受け入れ数は8年間で30人にのぼる。
軍事クーデター以降、ミャンマーでは判明しているだけで4月29日までに1803人が国軍や治安部隊により殺害され、1万3496人が逮捕・拘留されている(ミャンマーの非政府組織・政治囚支援協会調べ)。
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