クーデター後のミャンマーが経済混乱に苦しんでいる。外貨不足を解消するために打ち出した「外貨強制両替」が混乱に一層拍車をかける格好となっている。
軍事クーデターによって国軍が政権を握ったミャンマーで、通貨価値の下落を阻止するための政策が経済の混乱に拍車をかけている。
ミャンマー中央銀行は4月3日、外貨収入については外貨取扱銀行に預け入れ、1営業日以内に現地通貨であるチャットに両替しなければならないという内容の通達を出した。
この外貨の強制両替の義務は、国内居住者を対象としたもので、ミャンマーに拠点を置く外資系企業や外国人も含まれる。すでにミャンマー国内に保有している外貨建て預金についても適用され、ミャンマーから国外への送金についても外為監督委員会による許可が必要とされている。違反した場合には1年以下の禁固もしくは罰金、またはそれら両方を科すとされ、同通達は即日発効した。
「家賃や給与を払えない」と悲鳴の声
異例の強硬手段は、「市中にあるアメリカドルなどの外貨を吸い上げ、外貨不足を回避し、通貨価値を維持することが狙い」(現地の法律事務所関係者)とみられている。だが、現地で事業を展開する日本企業関係者の間からは「ドルでの支払いができない」「家賃や給与の支払いにも支障を来している」といった悲鳴が上がっている。
ミャンマー経済に詳しい現地関係者によれば、4月3日の通知の背景には外貨の著しい不足があるという。新型コロナウイルス感染症の拡大によって海外からの投資や人の往来が途絶えたことに加え、2021年2月の軍事クーデター後は世界銀行や日本などからの新規の政府開発援助(ODA)もなくなり、外貨事情が極端に悪化した。また、アメリカ政府による資産凍結や原油高による中間資材の輸入価格高騰も追い打ちをかけ、「外貨不足は悪化の一途をたどっている」(同関係者)。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら