ウイグルに「様子見」の日本企業に迫る究極の決断 ESGの論客「中国市場より人権優先」姿勢の合理性
中国・新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐり、国家間の対立が深まっている。2021年3月、欧米諸国は中国当局者らの資産を凍結するなどの制裁措置を発動。6月中旬にイギリスで開かれた主要7カ国(G7)の首脳会議の共同声明でも、新疆ウイグル自治区での「人権および基本的自由の尊重」を求める文言が盛りこまれた。
企業にとっても、ウイグル問題はもはやひとごとではない。同地の特産品である綿花を原料に使うアパレルなど、多くの企業がサプライチェーンの見直しに追われている。一方で中国国内では、ウイグル問題に懸念を表明していたスウェーデンのH&Mなどに対して不買運動が起きた。欧米主導の人権重視の流れに沿うのか、中国市場を取るのか。多くの日本企業は明確な姿勢を打ち出せずにいる。
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資に詳しい高崎経済大学の水口剛学長は、日本企業もウイグルでの人権問題に反対の意思を示すべきと強調する。ウイグル問題は長期的に企業経営にどんな影響を及ぼすのか、そして投資家サイドの動きをどう見通すのかを聞いた。
中国からの反発必至でも反対姿勢を示すべき
――多くのアパレル企業がウイグル問題への対応に追われています。
いずれ大きな問題になると思っていた。直接的なきっかけは、NGOの「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」が2020年に出した声明だろう(編集部注:持続可能な綿花生産を推進・認定するBCIは、人権問題への懸念からウイグル綿の認証を2020年に停止)。それからH&Mなどのアパレル企業が「人権問題に加担しない」と、ウイグル綿の使用について懸念を表明し始めた。
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