外見や服装を褒めるのは少々リスクをともなうので避けたいという場合でも、人を褒める方法はほかにもたくさんあるし、そのチャンスも多い。
たとえば、誕生日、結婚記念日、子どもの誕生、結婚、地域や職場でのなんらかの受賞、転職、昇進、組織への加入、仕事や趣味での成功、新車や家など高額の買い物……。
よく知らない人に名前を憶えてもらっていることがわかっただけでも、褒められた気分になる。デール・カーネギーは「世の中でもっとも甘い響きをもつ言葉は自分の名前である」と述べた。
「自分を気にかけている」が好感の下地になる
このように、相手を褒めようと思えば、そのチャンスはいくらでもある。要するに、想像力を駆使すれば、いくらでも誉め言葉を考えつけるのだ。
ある人物の何かについて褒めるのは、二つの理由で効果がある。
(1)相手を「いい気分」にさせたうえで、(2)わざわざ時間をかけて相手の生き方や考え方を推測したり、外見を観察したりして、いいところに気づき、それをわざわざ伝えるほど、あなたが相手のことを思いやっていることを示せるからだ。
「この人は、自分のことを気づかってくれている」と思えば、相手はあなたに好感をもちやすくなる。アメリカ大統領を務めたセオドア・ルーズベルトは、この事実の本質をしっかりと把握していて、「あなたがこちらのことをどれほど気にかけているかがわかったとき、初めて、あなたがどの程度知っているのかを気にかけるようになる」と述べている。
人を褒めるときは、率直に褒めよう。そして、けっして、やりすぎないように。また、相手にその褒め言葉を信じてもらえなければ意味はない。たとえばさきほどの例のように、仕事でよく頑張ったねと褒めたとしても、相手が手を抜いていたことを自覚していた場合、不快に思われかねない。
「褒め言葉」についてまとめよう。あなたが褒めた結果、相手が自身のことを好きになれたのであれば、相手はあなたのことも好きになる。その結果、引き出し法を最大限に有効活用するための下地ができるのだ。
(翻訳:栗木さつき)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら