「お世辞」を言わずに相手を気持ちよくさせる方法 元FBI捜査官が教える「自分を褒めさせる技術」

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ブラッド:じゃあ、ずーっと忙しくて大変だったんだ。
クリスティーナ:ええ。大きなプロジェクトがあって、ここ3週間、週に60時間も働いたのよ。
ブラッド:それだけ大きなプロジェクトを成功させるには、強い意志をもって、集中して頑張りぬかなくちゃならないんだろうね。〔「自分を褒める機会を与える」〕
クリスティーナ:そうね(考えながら)、この一大プロジェクトのために、いろいろと我慢して頑張ったわ。その甲斐あって、自分で言うのもなんだけど、いい仕事ができたはずよ。

ブラッドはクリスティーナに、これまで頑張ってきた自分を褒めるチャンスを与えた。その結果、クリスティーナは満悦することができた。簡単な言葉を使って共感を示しただけで、会話の方向性を変え、クリスティーナに自画自賛させることに成功したのだ─―それも当人には気づかれないまま。

外見以外でも褒めるところはたくさんある

褒め言葉にはさまざまなかたちがあり、その程度もさまざまだ。85年近く前、デール・カーネギーは著書『人を動かす』(創元社)のなかで、褒め言葉の価値を認めていた。この本はいまなおベストセラーとなっている。なぜだろう? 

それは、いわばカーネギーが〈好感度アップの鉄則〉を守る草分けとして、褒め言葉の重要性を認識し、世間に広めたからだ。彼の助言のなかには、ある人物を見たら、相手がどこに自信をもっているかを観察し、そこを褒めるといいというものがある。

この戦略は、論理的に練られていた。たとえば身に着けるものにこだわったり、手入れのゆきとどいた口ひげをたくわえたりと、「外見」をよくする努力をしている人であれば、誰かがその点に気づいて褒めてくれれば、嬉しくないはずがない。そして、褒めてくれたあなたへの評価も上がるというわけだ。

ただし昨今の社会では、人の外見(服装、髪型、体型など)を褒める際には少しばかり注意が必要となるが、適切に敬意をもって褒めれば、相手を「いい気分」にさせたうえで、信頼関係を築くことができる。どちらも、引き出し法を成功させるうえで欠かせない下地となる。

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