インドのイケてる企業家、規格外すぎる活躍 キングフィッシャーブランド成功の軌跡

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インドは世界最大のウイスキー市場である。ウイスキーの売り上げは、インドにおける蒸留酒売り上げの65%を占めている。マリヤ氏は、インドの酒類市場や消費主義について熟知しており、その知識を生かすために、160年の歴史を持ち、世界のスコッチウイスキーの10分の1近くを製造している世界的に有名な酒造会社ホワイト&マッケイ(Whyte & Mackay)を買収した。これにより、彼はスコットランドのウイスキー会社を買収した初めてのインド人となった。

世界的にウイスキーの売り上げが減少している中、彼はこの買収を行った。ウイスキーは、年寄り向けであって若者向けでないというのが先進国でのイメージだろう。しかし、インドは異なっており、若者がウイスキーを好んでいる。インドの全ウイスキー消費量のうち、輸入スコッチウイスキーの比率は90%を占めている。インドの若者の需要に応えるため、彼はこの買収を行ったのである。

2013年のカレンダー

キングフィッシャーブランドは、インドのファッションやメディア業界人のために“キングフィッシャーファッション賞”を設立したことにより、従来のビジネスの範囲を超えた。同賞は、インド国内の写真家、モデルやデザイナーを後押しするためのものである。「キングフィッシャー水着カレンダー」も成功した財産のひとつだ。長年にわたり、インドのファッションカレンダーの中でも最も熱心に待ち望まれるものとなった。

これ以外にも、キングフィッシャーはインドのさまざまなファッションイベントに関係している。また、主要なスポーツイベントの大手スポンサーでもある。

航空事業は運行免許剥奪

しかしマリヤ氏は、すべてにおいて簡単に成功したわけではない。とくに、航空事業は重大な課題に直面している。当初、マリヤ氏は豪華航空機としてキングフィッシャー航空を開始した。しかし、運航歴5年以上という規制を満たしていないため、独自には外国への飛行をできなかった。

規制を満たすまで待てなかったマリヤ氏は、低コスト航空会社のエア・デカンを買収し、外国への飛行の資格を得た。しかし、市場競争、高い投入原価、労働組合の反発などにより経営に失敗し、キングフィッシャー航空は2013年2月に運転免許を停止されている。

こうした失敗がありながらも、グループ全体ではキングフィッシャーのブランド力は揺らいでいない。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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