CNNの「有料配信」始まったとたん葬られた理由 激化する競争、「CNN+」単独では商売にならない
CNNの最高デジタル責任者でCNNプラスの生みの親の1人でもあるアンドリュー・モースは、CNNプラスの社内最大の擁護者として、有料契約モデルのオンラインニュースは成功しうると反論した。
成功例として、モースが引き合いに出したのがニューヨーク・タイムズだ。CNNプラスの幹部は、有料会員数は15万人に達しており、このままいけば初年度の会員数目標は達成できると語った。
だが、ディスカバリーの幹部はこの程度の数字では納得しなかった。数字をよく知る2人の関係者(公式に発言することは許されていない)によると、CNNプラスを常時利用している会員は1万人にも満たなかった。打ち切りが発表された21日、モースはCNNを去る予定だと語った。
ディスカバリーに刻まれる「失敗の教訓」
「計画が御破算になったのは、あなたたちのせいではない」。ニューヨーク・タイムズが確認した動画には、全員参加の重苦しい会議の中、ショックを受けるスタッフにCNNの新社長リヒトがそう語る様子が映っていた。
リヒトの左隣に座るディスカバリーのペレットは、CNNの「世界的な看板である」ケーブルネットワークの番組がまったく見られないことを指してCNNプラスを「CNNマイナス」と揶揄するツイートに話題を振った(CNNプラスはケーブルネットワークとの契約に抵触しないよう、独自の番組だけを扱っていた)。
ペレットは、クルマ、グルメ、ゴルフに特化したニッチなストリーミングで「苦汁を飲まされた」ディスカバリーの過去にも言及。これらのサービスには加入者がほとんど集まらず、経費ばかりかさんだ。
「これらのサービスは、ことごとく失敗に終わった」と、動画の中でペレットは述べている。
CNNプラスの番組の運命、そしてライバル局から引き抜いたキャスターたちの今後はまだ明らかになっていない。2人の消息筋によると、いくつかのコンテンツはHBOマックス、ディスカバリープラス、またはCNNのサイト「CNNドットコム」に移行される見込みだという。
(執筆:Michael M. Grynbaum記者、John Koblin記者、Benjamin Mullin記者)
(C)2022 The New York Times
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