「サーティワン」コロナ禍で売上を伸長できたワケ アイス専門店の次は「スイーツ専門店の市場」

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つまり最初の疑問に戻ると、もともと長期計画に含まれていた、デマンド戦略が功を奏し、コロナに際してもスムーズに対応できたのだ。

なおキム氏によると、2019年以前の同社売り上げは横ばい状態だったところ、10年計画を立案し、コロナに直面してピンチをチャンスに変えたことが、飛躍の転換点となったという。

テイクアウト店が全国売り上げ1位を記録

前述のテイクアウト店については、1日の平均客数260人と好調。シングルカップ4個入りのバラエティボックスが売れ筋で、客単価は想定より若干低いものの、午前中は年配の女性、昼頃は若い主婦層、夕方はターゲットのビジネスパーソン、夜はさまざまな客層と、狙い通り広い客層に訴求できているそうだ。

好きなフレーバーを選べるバラエティボックスはスモール4個1120円、レギュラー4個1560円(写真:サーティワン)

「店舗のサイズは通常の7割程度ですが、3月1日にオープンして1カ月で全国売り上げ1位を記録しています。実は三鷹の店舗は、賃料の高さや売り上げ低迷が理由で34年前に撤退していました。今回、テイクアウト需要に対応し、駅の改札外と、人通りのある場所に視認性の高い店舗を出すことができたことが勝因と考えています。『戻ってきてくれてうれしい』と言ってくださるお客様もおり、当社にとっても喜ばしいことです」(キム氏)

テイクアウト専門店は2022年中に5〜10店、直営店として出店し、さまざまな特性の地域でテスト的に展開。成功モデルをFC店舗に展開していく予定だ。

またテイクアウト専門店のほかにも、同社ではそれぞれコンセプトの異なる2タイプを軸に店舗リニューアルを進めていくという。Flavor 1stと名付けられたタイプはサーティワンの特徴である、種類の豊富さを伝える店舗。アイスクリームをスクープしている様子が見られるよう、鏡やカメラを設置し、視覚的な効果を高めるとともに、新しさを感じさせる店舗としている。一方、アメリカ発祥のスタイルMOMENTSはファミリー層を意識して日常のちょっとしたぜいたくをコンセプトとし、上質で現代的なデザインを採用。プレミアム商品や店舗体験を楽しむ店舗にしている。

いずれのタイプも、改装前に比べ売り上げが2倍近くになった店舗も複数あるそうで、キム氏も「素晴らしい結果」と評価している。2022年中に239店舗を改装予定だ。

なお、売り上げの伸長要因となったバラエティボックスだが、開発を担当するマーケティング本部長の若林翌(あきら)氏によると、ある意味挑戦的な商品だったそうだ。

「バラエティパックは40年以上前から存在し、それなりのシェアをとっていた商品です。ですから、リニューアルするには勇気が必要でした。しかし、お客様のデマンド、どういうときに商品を買いたいかを突き詰めて検討し、このような形になりました」(若林氏)

商品については、サーティワンの最大の特徴である種類の豊富さを訴求していく。サーティワンファンの人なら、「1カ月毎日違う種類を食べても最後の1日なお選べるように、店舗では32種類扱っている」というエピソードをご存じだろう。同社によると、実際には「ショーケースに並べられる数は偶数のため」という現実的な理由からだそう。ただ、ファンの間で伝説が流布するほど、種類の多さが魅力の一つになっていることは間違いない。

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