「サーティワン」コロナ禍で売上を伸長できたワケ アイス専門店の次は「スイーツ専門店の市場」
実はこのバラエティボックスをはじめ、自分でデコレーションできるアイスクリームケーキやハンドパックなどのテイクアウト商品により、同社はコロナ禍を乗り切っただけでなく、大きく売り上げを伸ばした。
代表取締役会長兼社長のジョン・キム氏によると、2020年はコロナ禍当初の休業や時短の影響により一時的に低下したものの、2021年には193億8800万円と、コロナ前の2019年の業績を上回っただけでなく、2013年以来の最高益を達成することができたという。
なぜこのように状況にスピーディに反応し、新たな戦略を展開できたのかについて、キム氏は次のように説明する。
「実は私が会長に就任して3週間後、緊急事態宣言が発出されたのです。そのため、就任したばかりなのに最後の年になるのかと思ってしまいました(笑)。しかし日本の野球の『ピンチをチャンスに変える』というマインドに基づいて、コロナ禍の10年後を見据えた長期的な戦略を立て、推進しました」(キム氏)
次のターゲットは「スイーツ専門店」
キム氏は2019年10月に同社専務執行役員に、2020年3月に会長兼CEOに就任している。キム氏の言う10年間の長期経営計画とは2031年に向けてのロングレンジプランを指し、「ブランドパワー強化」「デジタル化」「スマート31」「販売拠点拡大」の4つを柱に、2031年に税引き前利益31億円達成を目標としている。
注目されるのが、アイスクリーム専門店の市場をほぼ独占した同社が、スイーツ専門店の市場を次のターゲットに定めている点だ。
アイスクリームとスイーツに需要などにおいて共通点があることや、スイーツ専門店の市場がスイーツとアイスクリームの小売りを合わせた全体市場の約3割にあたる、2662億円(自社調べ)の規模を持つことに着目した。
長期計画においてとくに重視したのが、消費者の「デマンド=欲求」に基づいたマーケティングだという。コロナ前ならば店頭でさまざまなフレーバーの中から商品を選び、イートインで楽しむことにサーティワンの商品価値が置かれていた。しかしコロナを経験し、家庭での幸せを気軽に味わいたいというニーズを発見し、素早く対応したことが売り上げの伸長につながったという。
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