「ストレスだらけの親」が子に対し有害になる理屈 子どもへの高すぎる期待が引き起こす問題行動
さらに悪いことに、慢性的なストレスは、なおいっそうのストレスを生みだします。このような過負荷状態が続くと、いつか脳の一部が文字どおり「壊れて」しまいます。
つねに最高速度域で回転しているモーターを想像してみてください。私たち親は、この仕組みを理解しておかなければなりません。
絶え間ないストレスは、脳にダメージを与えて、それにより自分自身だけでなく、パートナーや子どもとの関係にも悪影響をおよぼします。
最悪の場合、分泌系に永続的な損傷を与えて、燃え尽き症候群やうつ病になってしまう恐れがあります。
ストレスは日々の子育ての妨げになります。ストレスを抱えた親が、顕著にネガティブな育児行動をとることが、研究からも明らかになっています。
ストレスにさらされると、私たちは大切なところで本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまうのです。
ストレスを抱えた親の「過度な要求」
私たち親が絶え間なくストレスを感じていると、子育ての行動にどんな影響をもたらすのでしょうか。科学者たちは、ストレスを受けることで生じる脳内のさまざまな現象が、最終的に子どもとの接し方にどのように作用するかを調べています。
ストレス耐性の高い、安定して強い心をもった子どもが育つでしょうか。親が子どもに多くを求めることで、子どもたちが素直に言うことを聞くようになるでしょうか。
残念ながら、その逆です。
ストレスを抱えた親は、そのふるまいによって、行動に問題のある子どもを育ててしまうリスクが圧倒的に高くなるのです。
ストレスをためこんだ親は、子どもが応えることのできないような高い要求を課します。
赤ちゃんが生後6か月で夜通し眠ってくれること、2歳になったらひとりで靴を履けるようになること、3歳になったら妹を泣かせずに仲よく遊べること、5歳にもなれば夕飯の準備ができるまでおとなしく待っていられること、小学校に入学したら自力で宿題に取り組んでくれることを願います。
子どもたちがそのような要求に沿うことができないのは、彼らが反抗的だからではありません。まだ子どもだからです。
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