「ストレスだらけの親」が子に対し有害になる理屈 子どもへの高すぎる期待が引き起こす問題行動
ところが、私たちの多くは今日、常時ストレスにさらされています。幼稚園の閉園時間がせまっていて急いでいるというのに、仕事帰りに渋滞に巻きこまれてしまったところを想像してみてください。自分の子どもがひとりで最後のお迎えを待っていて、イライラした顔の幼稚園の先生のことを心配しなければならない状況に置かれたら、きっとストレスを感じるのではないでしょうか。
すると私たちの体内では、心拍数が増加して、ホルモンレベルが上昇し、消化能力は低下し、前頭前野は負活性化します。完全なストレス反応です。こうした状況では、事故を起こしてしまったり、悪態をついたり、道に迷ったりする可能性があります。
それもこれも、ストレス反応によって理性が働かなくなるためです。
ストレスが生む「普段ならありえない言動」
さて、閉園ギリギリの時間になんとか幼稚園に到着しました。ところが、ストレスは解消されていません。なぜなら、私たちは車の中で「座っていただけ」で、体を動かしていないからです。
そのタイミングで、子どもが泣き叫んだり、発車したときの揺れでお弁当の残りを後部座席にひっくり返してしまったりすると、私たちはストレス反応を示し、普段なら考えられないような行動や発言をしてしまうことがあります。
これは、私たちの体がまだストレス下にあって、冷静に考えることができないからです。体を動かさないと、上昇したストレスホルモンの値がふたたび落ち着くまでに時間がかかります。そこに新たなストレス刺激を感じると(「水泳教室用のバッグを忘れてきた! 急いで家に取りに戻らないと……間に合うかしら!」)、私たちは慢性的なストレス状態に置かれるわけです。
このストレスシステムが、連日フル稼働している人もいます。朝はひとりで服を着替えられない子どものおかげでストレス、職場では気難しい同僚のせいでストレス、お迎えの途中で渋滞に巻きこまれてストレス、水泳教室へ向かうあいだごねる子どもにストレス、家路でまた渋滞にはまってストレス、お腹を空かせた子どもたちとスーパーマーケットでひと悶着ありストレス……。
家に着いても休めません。大急ぎで夕ご飯を作り、姑と電話で話して、子どもの宿題を手伝って、おまけに出張の準備が重なることだってあります。
子どもたちが眠りにつくころには、心臓はバクバクしています。すっかり燃え尽きてしまったように感じ、ソファに腰かけたところで、スイッチを切り替えてリラックスモードに入ることなんてできません。
なぜなら私たちの脳は、慢性的なストレスを想定して作られていないからです。
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