海運業界に供給過剰の荒波が迫る、好決算でも笑えない

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海運大手3社の2011年3月期の第3四半期(10年4~12月)累計決算が出そろった。夏場に急騰したコンテナ船運賃の貯金が大きく貢献。日本郵船と商船三井が営業利益1000億円強の大台を回復する見込みなど、各社とも通期で急改善するのは必至だ。

だが、記者会見した各IR担当幹部の顔色は一様に冴えない。足元の海運市況が崩落しているからだ。

ケープサイズ(載貨重量15万トン以上の大型バラ積み船)の1日当たり用船料(スポット運賃)は、採算ラインの2万ドルを年初にあっさり割り込むと、27取引日続落し、8割近くも下げた。2月2日現在の5544ドルは一昨年初来の最低水準となっている。

市況下落の最大の要因は、石炭や鉄鉱石の世界的産地であるオーストラリアでの天災だ。大洪水で石炭などの鉱物採掘がままならないばかりか、貨物鉄道網がマヒ。各港には大量の滞船がひしめく。さらにブラジルでの豪雨による土砂崩れで鉄鉱石の採掘が滞ったことも、市況下落に追い打ちをかけている。

世界最多である120隻のケープサイズを擁する商船三井は、フリーポーション(スポット運賃での運航比率)を、通常の20%台から5%弱にまで引き下げる緊急措置を実施。それでも11年1~3月期のバラ積み船の部門利益は、10年10~12月期の半分程度まで落ち込みそうだ。

天災去るがまた一難

ケープサイズ運賃はいつ上昇に転じるのか--。商船三井では、下落は天災による一過性なものと見る。だが、日本郵船の甲斐幹敏経営委員の見方は違う。「11年は200隻ものケープサイズが竣工する。需要の伸びに比して船体供給は過剰かもしれない」と、今後に迫り来る運賃下げ要因への懸念を示す。

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