4月4週(25ー28日)の日本株は、ボラティリティー(変動性)の高い値動きとなる見込み。米国の金融引き締め政策や長期金利上昇に対する懸念が根強いほか、国内外で本格化する企業決算も投資家心理に影響を与えそう。日本銀行の金融政策決定会合や為替動向次第では振れ幅が大きくなりそうだ。
米長期金利が3%に接近する中で、米国株は一喜一憂する状況となっている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は21日に利上げの前倒しを支持する論拠には評価すべき利点があるとの認識を示し、市場では5月以降3回連続で0.5ポイントずつの引き上げ見通しが織り込まれつつある。景気の先行きや株価バリュエーションの低下が意識されれば、下値を切り上げている日本株にとっても下押し圧力が及びかねない。
企業決算では米国では26日にマイクロソフトやアルファベットなど巨大IT企業の発表が相次ぐ。国内でも本格化し、26日はファナックや野村ホールディングス、27日はキーエンスや信越化学工業、前半戦のピーク日となる28日はレーザーテックやデンソーなどが発表する。全体では慎重な期初計画が多くなると予想される半面、先行して発表した日本電産やディスコなどは堅調な値動きを示しており、業績見通しに方向感が出てくるまで市場心理を左右しそう。
27、28日は日本銀行の金融政策決定会合が開催される。エコノミスト調査では9割が現状維持を予想する一方、円安を受けて年内に政策修正に踏み切るとの見方が広がっている。為替を通じて日本株の変動要因になる可能性もある。需給面ではTOPIXの指数見直しによる第1回目のリバランスが28日に実施される。29日の昭和の日からは大型連休に突入する。3週のTOPIXは週間で0.5%高と4週ぶり反発。
《市場関係者の見方》
アセットマネジメントOneの中野貴比呂ストラテジスト
波乱含みだろう。営業日が4日しかない上に大型連休も控え、米国株と為替市場に振り回されやすい。もし足元の引き締めペースが早まれば将来の見通しも変わるだけに、米国株は不透明感の中で金利や材料に素直に反応している状況だ。「悪い円安」論が広まるとともに日銀の将来の政策変更に対する観測が市場の一部から出てきており、会合での為替に対する見解次第では相場の材料になる。決算では目線の低い業績見通しが相次ぐと買いづらい。
大和証券の林健太郎シニアストラテジスト
日経平均2万7000円を巡る攻防になりそうだ。米金利情勢は気になるものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて米金融当局者のブラックアウト期間に入るため、手がかり材料が出づらく金利は落ち着いた動きになりやすい。一方、企業決算では米国の巨大IT企業が非常に重要。これら企業は原材料高や景気減速の影響を受けにくいため、決算が良ければ株式市場は上に行くだろう。反対に失望されれば、株価の下支えが外れることになる。日経平均の予想レンジは2万8000-2万6000円。
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著者:長谷川敏郎
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