「制御不能な円安」日本企業と家庭にもたらす負担 大規模な介入があっても下落は止まらない
しかし、最初の4年間が終わった後はその連携は続かなかった。実際、現在では市場は反対の反応を示している。3月30日から4月20日の間、円安が4%進み、日経平均株価も同様に下落したのだ。
この違いは何に起因するのであろうか。
第1の原因は、円安が過去と同程度には輸出を促進しなくなったことだ。多くの企業が生産拠点を海外に移していることがその理由の1つである。近年、日本の自動車の3分の2は海外で生産されている。日銀の調査によると、海外生産の多い産業はそれが少ない産業と比較して、1%の円安から受ける輸出促進の恩恵が少ないという。
「プレミアム感」なくなった日本の電機
第2の原因は、生産拠点が国内か海外かにかかわらず、日本の電機・機械メーカーの多くがかつての競争力を失っていることである。2008年から2020年の間、世界の電機機器の市場規模は40%上昇したにもかかわらず、日本の電気機器メーカー上位10社のすべてが、世界においては売り上げが停滞している。
さらに悪いことに、日本の電機メーカーの総売上は30%も下がっている。(自動車以外の)機械セクターでの世界輸出における日本のシェアは、1991年にはアメリカやドイツよりも大きかったのが、2018年にはその2国より小さくなってしまった。この期間に円安が進行したにもかかわらず、そうなってしまったのである。
結果、かつては優れているという評判によりプレミアム価格を設定することができた日本企業が、今や価格を下げることでシェアを奪い合わなければならない状況に陥った。しかも、ますます大きく価格を下げなければならなくなってきている。
前述の日銀による調査では2700種類の製品を調べており、2002年から2010年の間では円安に振れた時には86%の製品の売り上げが増加していたことがわかった。2011年から2019年の間ではその割合が72%にまで低下している。残り28%に関してはむしろ、円安はエネルギーや原材料などの不可欠な輸入品の価格を上げることにより輸出に不利に働いた。
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