ごみを拾って「写真をシェア」ハマる人の使命感 拾ったごみを記録「ピリカ」とはいったい何か?

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「『ピリカ』は拾ったごみの量を記録して、データにできるところが気にいっています。自治体や地域にごみ対策を求めるのにも、データが必要だと思うので。活動を通して仲間ができたり、地域の横のつながりが広がるのもうれしいです」と豊田さん。

阿武隈川河口付近で活動した際には、上流から川の河口へと流れ込むごみが多いことにも驚いたという。上流に住む高校生や学習塾の生徒とごみ拾いを通してつながりができ、イベントを行うなど活動も広がろうとしている。

昨年7月から、「ピリカ」を利用しているというマユツンマユさんは、ラジオで偶然「ピリカ」のことを知った。それから晴れた日にはリアカーを引き、ごみ拾いを行うようになった。「ピリカ」ではごみに関する替え歌を投稿し楽しんでいる。マユツンマユさんの投稿ページは、いつもコメントでいっぱいだ。

「最初は燃えるごみだけを拾っていたのですが、最近はスプレー缶や吸い殻がつまった空き缶など、少し難易度の高いごみにも挑戦するようになりました。難しいごみの処理の仕方も、「ピリカ」の仲間が教えてくれるんですよ。ごみ拾いは体力勝負なので健康維持のためにもいいんです。今では趣味と言えるほどハマっています」とマユツンマユさん。

もともと、ごみ問題に強い関心があったわけではなかった。しかし「ピリカ」の楽しそうな雰囲気に惹かれたという。

「ピリカ」ユーザーの中には、仕事前の早朝にごみ拾いをする人も多い。熱心なユーザーの中には、川の中に分け入ったり、家電を拾って処理する人もいるという。

筆者もごみ拾いをしてみた。一人でごみ拾いをしていると人目も気になる。しかし、「ピリカ」で、ごみを拾い写真を投稿すると、あっという間に20件ほどの「ありがとう」が届いた。「はじめまして!」「これから一緒に頑張っていきましょう」などのコメントをもらうと、温かい気持ちにつつまれた。ほかのSNSのイイねとは違う心の充足感があるようだ。

小学生の頃に出会った1冊の本

「ピリカ」は、創業者の小嶌さんが大学院在学中に生まれた。

小学生の頃『地球の環境問題シリーズ』(ポプラ社)という本に出合ったことをきっかけに環境問題に人一倍、興味をもった小嶌さん。大学で環境工学を学んだが、環境問題を解決するために、どのような職につけばよいのか悩んだ。進路を決める猶予時間を作ろうと大学院へ進学。

入学後は、しばらく休学しベトナムの環境系企業でインターンシップを半年ほど経験した。ここで会社員は自分の性格に合わないと感じ、自分で会社を興すことに決め、起業アイデアを探すために世界一周の旅に出た。

2カ月半ほどかけて、アフリカやインド、東南アジアなど環境破壊が大きいとされる新興国を中心に巡った。ブラジルのアマゾンの奥地にも、砂漠の真ん中にも、ごみが落ちているのをみて、思った以上に問題は深刻だと感じた。

「黒くて泡がぷくぷくと浮いた、とんでもなく汚染された川もありました。匂いや映像も含めて、ショックが大きかったです。一つひとつ気づいたことを写真で撮っていたら、スマホの中で、自動的にマッピングされたんです。そこで環境問題のマッピングというアイデアを思いつきました」

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