ごみを拾って「写真をシェア」ハマる人の使命感 拾ったごみを記録「ピリカ」とはいったい何か?

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アイデアをもとに大学院の友人などに仲間を募り、まずはポイ捨てごみをマッピングするアプリを開発。2011年5月にごみ拾いSNS「ピリカ」を公開し、11月にピリカを設立した。「ピリカ」とはアイヌ語で「美しい」の意味だ。

当時は、Twitter やFacebook が爆発的に伸びていた。ポイ捨てごみを減らすことを目的として、ごみ拾い界のFacebookを目指そうとリリースしたが、最初の1カ月「ピリカ」で拾われたごみはたったの100個足らずだった。卒業旅行中の友人に声をかけ、海外でごみを拾ってもらうなど、知人を中心に利用者を増やし徐々に認知を広げた。

その後、アプリの改良を重ね、企業や自治体の清掃活動で使ってもらうために有償の団体版も作った。現在、味の素やサッポロホールディングスなど、1500以上の企業や自治体で導入されている。

さらに、スマホの動画で路面を撮影し写り込んだごみの種類や数量を画像解析技術で読み取る、ポイ捨てごみ調査サービス「タカノメ」もリリースするなど、サービス内容も拡大している。

ポイ捨てごみ、街から海へと流れ込む現状

実は、街でポイ捨てされたごみは、大雨などで川へ流れ込み、やがて海洋ごみになる可能性がある。実際、日本でも海洋ごみの約8割が陸から流れ込んだもの(個数比)という調査結果がある。

筆者は、今年3月、荒川クリーンエイド・フォーラムとピリカが主催するごみ拾いに参加した。川辺を歩いていると綺麗にみえる荒川だが、河口近くの川岸には、川の上流から多くのごみが流れこみ溜まってしまうスポットがある。

流れ着いたごみは靴、財布、歯ブラシ、使い捨て容器、ペットボトル、お菓子の袋など多岐にわたり、プラスチックごみが多いようだ。最終的に拾ったごみ袋は40袋ほどになった。

荒川河口付近に上流から流れついたごみ(筆者撮影)

河原に流れ着いたプラスチックごみは、その場でも紫外線や物理的な影響で徐々に劣化し、まるで土のように細かくなる。それは、やがて5mm以下のマイクロプラスチックとなり台風や大雨などのタイミングで川や海に流れ込む。

ピリカでは、この問題にも注目し、水中に存在するマイクロプラスチックを手軽に、安価で採取する機器アルバトロスを開発した。水中に機器を約3分間しずめると、約4000Lの水を吸引し、内部のネットを通過させることで、マイクロプラスチックを採取することができる。

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