新日鉄が住友金属と大合併を決断、2012年10月の統合目指す、実現すれば世界2位奪還
新日本製鉄と住友金属工業は来年10月をメドに合併する方向で合意した。公正取引委員会による審査が当面のハードルとなるが、両社は得意分野が異なり重複分野は少ない。実現すれば両社合計の粗鋼生産量は2010年暦年ベースで4780万トンになり、09年に中国の宝鋼集団、韓国のポスコに抜かれて失った2位の座を奪い返すことになる。またポスコに抜かれて久しい株式時価総額でも2位の奪還が期待できる。
両社は相互出資を行った02年のアライアンス開始以来、半製品の相互供給や、ステンレス事業など子会社の統合といった競争力強化策を進めていた。今回、この関係をさらに強化する道を選んだ。
両社は神戸製鋼所とも同時期から提携関係にあり、3社統合とはならなかったが、今後も提携関係は維持する方針だ。
統合会社の名称、本社所在地、代表者、役員構成、統合比率などは両社社長をトップとする「統合検討委員会」を設置し協議するが、遅くとも来年4月をメドに合併契約を締結し、株主総会で承認を得る計画だ。
合併で狙うのは、得意分野を組み合わせたグローバル戦略の加速化、両社の技術力の結集、重複部門の再編などコスト競争力の構築。ただ、当面の課題は公取委の壁。シームレス鋼管や鉄道車輪など住金の得意分野は、新日鉄と競合しておらず、重複部門は少ないとする。ただ、09年に住友金属系の共英製鋼と東京鉄鋼の電炉2社の合併計画が公取委の審査が長引いたことで断念した経緯などもあり、予断は許さない。
ただ、海外をみれば、再編を繰り返し、世界最大となったアルセロール・ミタルの存在もある。今回の合併が実現しても、ミタルには届かない。
新日鉄の12年3月期の業績予想については、期末時点でも合併前となるため、修正はしない。ただ、統合が実現すれば今11年3月期ベースで売上高5.6兆円規模の巨大企業が誕生する。海外の競合各社の一歩先をいくことになり、失われつつあった国際競争力の回復の大きな一打となりそうだ。
[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]
(山内 哲夫 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら