賢い子を育てる!読み書き計算より大事な1つの事 子ども時代しか持てない疑問を持つことが重要

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要するに、最初から間違えそうだなという子が間違えていたら、「あ、やっぱりここを君はわかってないぞ」と、理解不足のところを見つけることになる。

普段のこの子の理解力なら間違えないはずのところを間違えたなら、その子がミスをするようなことを僕がしているんですよ。だから採点というのは、教師にとっては自分の教え方と生徒のつまずきを振り返る大切な機会なのです。

とはいえ、学校からお願いされているのにやらないわけにはいきませんよね。親御さんが丸つけをする場合は、バツがついたところはどこか、バツは普段より多いか少ないかなどに注意して、子どもが勉強についていけているかどうかを把握してください。

全部丸にしなきゃと答えを教えて書き直させちゃうお母さんとかいるのですが、その必要はありません。いつもは8割がたできるのに今回は6割だ、となったらこの単元わかってないな、どうしてかな、どこがわからないのかな、と考えてみる。

そしてわからないところを復習するよう子どもに教える。そういう「間違いポイント発見機」として丸つけを活用するといいのではないでしょうか。

学校は本来「子どもの学力を上げる場所」

──「子どもが勉強についていけてるのか」を気にするのは大切ですね。担任の先生に気づいてほしいところではありますが……。

隂山:教育界から発信する立場としてはあまり言いたくないことではありますが、学校には一定数、学力向上よりもクラス仲よくとか、話し合いとか、そういうことを重視する先生がいるのは事実です。僕はそれって、目的をすりかえているとも思うんですね。

学校の目的は、やっぱり子どもの学力を上げることです。でもいろんな理由でそれが難しいとなった場合に、「うちのクラスはみんな仲いいから」とか「主体的学習の場だから」とかって、学級会ばっかりやっちゃう先生もいる。でも、その先生の指導のせいで授業についていけないっていうのは、やっぱり違うんじゃないでしょうか。

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だって、先生の指導力のせいだというなら、クラスの子が全員授業についていけないはずですよね。ほかの子は勉強ができているようだったら、やっぱりお子さんがどこかでつまずいている。ここは、ちょっと不本意かもしれないけど親が受け入れたほうがいい。

では、勉強についていけてない。どうもつまずいているようだ。どうすればいいかというと、簡単です。担任の先生には頼らず、自分でがんばったらいいんですよ、とくにこれからの時代は。

やり方は単純で、小学1年生の最初の単元からやり直す。それだけです。また、正直にいえば「明らかに勉強についていけていない」とわかるそうとう前に、じつは問題が起きていたはずです。

子どもは、勉強につまずくと全部楽しくなくなります。学校でいちばん長いのは勉強の時間ですから。「学校に行きたがらない」「宿題をしなくなった」など、なんらかのサインが出るはずです。そのサインにいちはやく気づいて対策を打つことも大切です。

隂山 英男 教育クリエイター、隂山ラボ代表

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かげやま ひでお / Hideo Kageyama

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現・朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。

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