渡辺謙、「他人の人生経験は役に立たない」の真意 ドラマ『TOKYO VICE』で見せる新境地

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――渡辺さんの中で、いま風はどこに向かって吹いていますか?

教えません(笑)。というか、風の向きは明確に捉えられるものではないんです。たとえば、ある作品のオファーをいただいたとします。そのときに考えるんです。「いまこの作品をこの時代に公開、放送する意味はどこにあるのだろう。この作品を提供する意義は何だろう」と。

そして、吹いている風にマッチするのであれば、やるべきだと受け止めます。時代もの、SF、今回のように少し過去を舞台にした作品など種類はさまざまですが、今の時代感とコネクトするものがあるかないかという部分は、つねに考慮しています。

今回のドラマも同じです。ただ「昔々、ある場所でこんなできごとがあって」と、単に1990年代を描いてもおもしろくない。だから、どこか現代と共通項がないかを探しました。

(写真:梅谷秀司)

――では、今回のWOWOW がハリウッドと共同制作したオリジナルドラマ「TOKYO VICE」と現代の共通項は。

それも教えませんよ(笑)。だって、その思いはこの作品に込めているわけですから。僕、「見どころは?」と聞かれるのが一番、嫌いなんです。すべてのシーンが見どころですし、そういうふうに作品作りをしているからです。

動画配信のドラマの強み

――なるほど。本作は全シーン魅力的で、「ここで終わってしまうの?」と、次回が気になる内容でした。

脚本のうまさでしょうね。次が気になって仕方ないのは、動画配信サービスの、連続ドラマの強みでもあると思います。僕も続きが気になって仕方なくて、動画配信のドラマ鑑賞に1日、費やした経験があります。

この作品、8話目まで進んだら「ここで終わるの?」って気持ちが加速しますよ。「ここで!?」というテイストでファーストシリーズは終わります。僕、台本を読んだ段階で思いましたから。「おいおいおいおい、ここで終わっちゃうの?」と。

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