内部資料が示すマッキンゼー「あきれた利益相反」 製薬企業と規制当局を同時コンサルという驚き

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(写真:John Taggart/The New York Times)

多大な影響力を持つコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー、ジェフ・スミスは2017年12月、細心の注意を要する案件を引き受けた。経営難に陥り、再建中だったオピオイド(医療用麻薬)メーカー、パーデュー・ファーマの幹部がスミスを探し当てたのだ。

スミスはその後数週間にわたり、コネティカット州スタンフォードにあるパーデューのオフィスを訪れ、幹部らと会談を重ね食事をともにした。彼のチームは事業計画を検討し、新薬の評価を行った。

同社のオピオイド系鎮痛剤「オキシコンチン」は医療専門家からオピオイド蔓延の火付け役になったとされていた。そのオキシコンチンをめぐる混乱から抜けだし、会社を前進させるきっかけを与えてくれるものとしてパーデューは新薬に期待をかけていた。

しかし、スミスが当時手がけていた案件はパーデューの再建だけではなかった。彼はアメリカ食品医薬品局(FDA)の新薬承認担当部署、つまりは規制面でパーデューの新薬の命運を握る部署の改革も担当していたのだ。

スミスがパーデューと連邦規制当局の案件を同時に手がけていた実態は、これまで非公開とされてきたマッキンゼーの内部文書に記されている。私企業とそれらの企業を監督する公的機関の案件を分離する壁がマッキンゼーでは穴だらけになっていたことを示す証拠だ。

数千に及ぶ内部資料でわかったこと

ニューヨーク・タイムズが数千に及ぶマッキンゼーの内部文書を調べたところ、同社ではオピオイドメーカーを含む製薬会社を担当する従業員が、製薬業界の最重要規制当局であるFDAのコンサルティングも担当するといったことが再三にわたって繰り返されていたことが明らかになった。

ニューヨーク・タイムズが精査した文書は下院監視・政府改革委員会も入手している。同委員会は13日、マッキンゼーの連邦政府案件に関する調査結果の第1弾を公表した。州司法長官団も、2021年の和解の一環としてマッキンゼーのパーデュー案件を調査。これらの記録には2004〜2019年の15年間における、パーデューなどオピオイドメーカーに対するマッキンゼーの業務の詳細が記されている。

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