闘病14年、享年21歳のアイドルが遺した生きた証 小学2年から脳腫瘍と闘い続けた丸山夏鈴の人生

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「ぶらっくきゃっと」に脳腫瘍という単語が書かれたのは、最終投稿となる高校卒業後の日記のみだ。

高校で決意を固めたアイドルへの道

中学2年時の手術以降は体調が安定し、高校時代は元気に過ごした。ボランティアに生徒会にと精力的に活動し、高校3年生の夏には大学見学で都心まで出かけたりもした。後のブログで語られているが、その際に秋葉原でAKB48 13期研究生オーディションを受けており、2次審査まで進んでいる。小学2年でモーニング娘。の虜になって以来、アイドルという職業に憧れを抱いてきた。進路は大学進学とアイドル。高校卒業を前にその決意は固まっていた。

<担任の教科の最後の授業で「28歳の私から18歳のみなさんへ」というテーマで話をされました。
ふと10年後何してるのか気になりました。
28歳の自分…
何してるんだろ
成功するためにはどうすればいいか、
先生曰く成功の反対は失敗ではなく「挑戦しないこと」だそうです。
聞いてて胸に突き刺さりました。
10年後夢が叶えられているようにいろんなことに挑戦していきたいなぁ~
改めてそう心に決めた日でした>
(ぶらっくきゃっと/2012年1月31日「最後の授業」)

しかし、卒業式を目前にして夏鈴さんの体に再び異常が現れる。ダンスの練習時に右手だけ細かい動きができず、前生徒会長として卒業生代表の答辞の原稿を書こうにもうまく力が入らない。2月22日に入院すると、MRI検査で大小2つの影がはっきりと写っていた。卒業式はなんとか出席し、卒業後直ちに摘出手術を受けることになった。その報告がこのブログの最終投稿となる。

<脳腫瘍が再発してしまいました。
でっかいのとちっちゃいの。
2つあります。
丁度その時に卒業生代表の答辞を考えていたのですが
前向きな文章をどう読んだらいいか、本当に清書していいのか分からず自暴自棄になっていました。
でもそんなとき、友達が励ましてくれて
これは納得いくまで答辞を仕上げなければならないと思って当日の朝までかかりました。
字が書けないものですから、お母さんが徹夜して書いてくれました。
(略)
道は苦しければ苦しいほど
大きなものが得られるはず。
先は明るいです。>
(ぶらっくきゃっと/2012年3月5日「卒業しました」)
「ぶらっくきゃっと」の最終投稿

脳腫瘍と闘っていることとともに、MRI検査の画像、自身の容姿がわかる写真も初めて掲載した。千葉の大学に入学が決まっているが、術後の状態によっては休学を余儀なくされるかもしれない。アイドルのオーディションも受けているが、そちらも同様だ。前途は見えない。それでも明るい「先」に踏み出すために公開の境界線を引き下げ、抱えている病と自分自身の姿を公開した。

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