闘病14年、享年21歳のアイドルが遺した生きた証 小学2年から脳腫瘍と闘い続けた丸山夏鈴の人生

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夏鈴さんが生まれたのは1993年8月。1年後に生まれた妹とともに両親や友人に囲まれて福島県郡山市で育った。

最初の違和感に襲われたのは小学2年の冬だった。音読の宿題を忘れて教師に注意されているときに目眩で倒れたり、体育で縄跳びしている最中に具合が悪くなったりした。高熱と吐き気が続く日もあった。インフルエンザかもしれない。そう思って病院で診察を受けると、脳腫瘍と診断された。急いで摘出手術を受けることになる。

中学2年で5年半ぶりに開頭手術

その後の放射線治療も耐えると、日常生活が送れるまでに回復した。後遺症でてんかん発作が起きるようになり、保健室やときには救急車のお世話になることもあったが、それでも周囲のサポートもあり普段は病気のことを意識せずに学校生活を送ることができた。

「ぶらっくきゃっと」最初の投稿

現存する旧ブログ「ぶらっくきゃっと」(https://ameblo.jp/karin-cherry/)を立ち上げたのは、そんな毎日を送っていた頃だ。中学1年の冬休みを前にした2006年12月家庭や学校で起きた何気ないことを短文でつづる中学生らしい穏やかな日記だが、そこにしばしば体調不良で学校を早退したり発作が起きたりしたエピソードが差し込まれる。

<お久しぶりです(^-^)
随分更新が止まってしまいました(-_-;
実はですね、昨日、またまた発作(痙攣)が起きてしまいました(ToT)
お母さんと、うちの散らかり放題の部屋を一緒に片付けてたらねぇ。うん。大きな痙攣だったんで、そのまま救急車…。呼ばなくて良かったのに…。>
(ぶらっくきゃっと/2007年3月12日「お久」)

発作のことや過去に手術を受けたことなどはフラットにつづっているが、病名は伏せる。個人情報も誕生日や学年、ファーストネーム以外は極力触れない。それが当時の公開の線引きだったとうかがえる。

中学時代は体調が優れない日が多く続いた。中学2年の春にはさらに状態が悪化し、ひどい頭痛から検査入院することになったという。そしてそのまま5年半ぶりになる2回目の摘出手術。もともと手術の予定だったが、心配した母がその事実を伏せていたと後から知った。

<てか、なんで夏鈴が病気になんなきゃいけないの
ふぁー。。。
普通に暮らして、いっぱい遊んで、友達と駅前で買い物したり、いろんなコトやりたいのにね。
消毒液臭いところにいつまで居るのかなぁぁ。。。
あ”、最悪の場合手術だって。
麻痺したらどうしよう>
(ぶらっくきゃっと/2007年5月14日「明日から入院します。」)

麻痺を起こさず退院できたが、その2カ月後には緊急で再手術を受けることになり、14歳の誕生日を病院で過ごしている。やはり病名はブログに書かない。

次ページブログに脳腫瘍という単語が初めて書かれた日
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