SNSが気になり、仕事進まない人の心理が当然な訳 脳の本能を知るだけで意外と簡単に抜け出せる
たとえば音楽を聴きながら仕事や勉強をする人は多いですが、さきほども申し上げたように脳というのは周囲にある情報の意味を本能的に、自分の意思とは関係なく勝手に考えようとします。「歌詞がない曲ならいいのでは」と思われるかもしれませんが、たとえ歌詞がなくてもメロディーやリズムの進行などに脳が勝手に規則性を見いだそうとしたりするわけです。
すると自分は勉強に100%集中しているつもりでも、脳のリソースの一部は音楽に割かれていることになります。つまり脳の性能を落とすブレーキをかけながら勉強していることになるわけです。
反対に考えると、脳のレーダーを一方向に限定させられれば集中状態に入れるということです。そのために必要なのが不安をうまく飼いならすことで、それを実現するヒントを与えてくれる研究結果があります。
ちょっとした計算やパズルが集中力を呼び覚ます
デューク大学の研究チームが、不安になりやすい脳をうまくコントロールする方法はないかを調べた論文の実験で、参加者として、不安になりやすいタイプの男女120名が集められました。まず120名をAとBの2つのグループに分け、Aのグループには暗算や神経衰弱のような認知能力が必要な問題を解いてもらい、Bのグループは対照群としてなにもしません。このステップを参加者たちがこなしたうえで、彼らの不安を掻き立てるような、たとえば恐ろしい顔や怒った顔のような写真や映像を見せるということをしました。
すると、問題を解いたAのグループは脳の「背外側前頭前野」という部分の機能が活性化したというのです。この部位はモチベーションや感情を整えたりするエリアなので、不安や恐怖を抑える力があります。つまり問題を解いたグループは「周囲の脅威に対して過剰に反応しやすい」という脳の本能的な反応を消失させたと言えます。ということは、不安に陥りそうになったら、あるいは何かを始めたいのに何かが気になって始められなかったら、脳に対して少しだけ負荷がかかるような問題を解けばいい、というわけです。
誰しも、ちょっと心配事があってモヤモヤしているときも、手をつけやすそうな仕事などを始めたら、いつの間にかモヤモヤを忘れていた、というような経験はあると思います。
集中するためにはデフォルトである「脳の不安状態」から脱する必要があり、そのためには脳の認知機能に少しの負荷をかけてやりましょう。ちょっとした計算や図形のパズルなどでも構いません。
それが脳内の「背外側前頭前野」を活性化させ、もともと持っていたネガティブな感情を抑えて、脳のリソースを100%対象に向けて集中できるよう導いてくれます。
前回:集中力のない凡才と凄まじい天才を分ける決定差(4月1日配信)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら