「BEV専業メーカー宣言」でボルボはどうなる? ボルボ日本法人社長に聞いた国内戦略と課題

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―BEVは日本でも今後、オンライン販売のみとし、2030年には全モデルがオンライン販売となるとの解釈でよいか?

以前から説明しているように、オンライン販売といってもフルオンラインではなく、(契約や決済などは)新車販売店を介して手続きを行う。

オンライン販売でも、新車販売店との関係性を維持することを、昨年から新車販売店と協議を進めてきた。さまざまな質問に丁寧に答えるためにわれわれは多くのエネルギーを費やし、(結果的に)新車販売店の理解を得ている。

2021年3月、ボルボ・カーズの2030年BEVシフト発表に伴う発表会でのマーティン・パーソン社長(筆者撮影)

―2025年時点で、日本市場でのBEV新車販売比率を、2021年3月の発表時点より引き上げる可能性を示唆する報道があった。

(2025年時点では)グローバルで50%としており、(当初は)日本では35%とした。だが、これまでのC40 Rechargeを通じた市場の反応を考えると、40%も可能かと考えているところだ。

―では、改めて日本市場でのBEV普及に向けた課題は何か?

やはり充電インフラの拡充だ。諸外国と比べると、日本でのインセンティブ(国や自治体等からの補助金)が少ない印象がある。もう1つは、実際の航続距離についてBEVをいかにプロモート(広めるための活動)するかだ。

―最後に、ボルボ・カーズ本社で新しくCEOに就任するジム・ローワン氏についてどう思うか? ダイソンやブラックベリーなど、先進的な家電やITの事業に精通している人物だが、完全BEVメーカーを目指す中で期待や要望は?

私からコメントする立場にないが、コネクテッドやDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要なこの時代を、まさに彼のプロファイル(経歴)が、(ボルボの将来進むべき道を)示していると思う。

横浜周辺でC40 Rechargeを体験

パーソン社長への単独インタビューの数日後、C40 Recharge日本仕様を横浜周辺の一般道路と高速道路で試乗した。

横浜ベイサイドマリーナにて。ルーフラインが特徴的だ(筆者撮影)

試乗会場となったホテル1階には、スカンジナビアの西海岸の深い入り江(フィヨルド)をイメージしたフィヨルドブルーの外装色をあしらったC40 Rechargeがズラリと並ぶ。

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