『ウォール・ストリート』--金融取引に極めて大事な2つのこと《宿輪純一のシネマ経済学》
本作品は、はっきりとは示されていないが、破綻した「リーマン・ブラザース」がそのモチーフとなっていると考えられる。そのため内容にリアリティがある。
1987年の名作『ウォール街(Wall Street)』の23年ぶりの続編であり、前作に続き社会派監督オリバー・ストーンが再びメガホンを取っている。前作でアカデミー主演男優賞を受賞したマイケル・ダグラスが変わらず主演を務める。
前作の最後に逮捕され投獄されたウォール街の元カリスマ投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)が長い刑期を終えて出所し、ニューヨークに戻ってくる。リアルな投資の世界には戻らず(戻れず?)、本を書き、講演で生活をしており、その生活ぶりからは贅沢さは感じられない。
(C)2010 TWENTIETH CENTURY FOX
ゲッコーは疎遠になっていた一人娘ウィニー(キャリー・マリガン)との関係を修復しようとするが、彼女は父親を毛嫌いして取り付く島もない。そんなとき、ゲッコーはウィニーの婚約者で、ウォール街で働く青年ジェイコブ(シャイア・ラブーフ)と出会う。ジェイコブは破綻した証券会社に勤務していた。罠にはめられ会社は破産、恩師である社長も自殺する。その罠を仕掛けたやつらに復讐することを誓うジェイコブ。ゲッコーも家族の信頼を代償とする新たなマネーゲームに取りかかっていく。
本作品の出演陣では一流どころが贅沢にそろっている。
マイケル・ダグラスのほかにも、『トランスフォーマー』などヒット作が続く若手の成長株のシャイア・ラブーフ、『17歳の肖像』で一躍光ったキャリー・マリガン、アカデミー賞女優のスーザン・サランドン、『告発のとき』『ノーカントリー』『ブッシュ』などの渋い演技が光るジョシュ・ブローリン……。前作で活躍したバド・フォックス役のチャーリー・シーンはカメオ出演(ワンシーンのみの顔見せ出演)だけで少し残念。
ちなみに前作活躍の2人であるが、マイケル・ダグラスは昨年から咽頭がんを患っていたが、この1月に克服したとのこと。チャーリー・シーンは腹痛で緊急入院したらしく心配されている。