病気知らずの長寿高齢者の便を調べてわかった事 100歳超えのカギを握る腸内細菌「酪酸菌」とは
近年、さまざまな方面で話題になっている「腸内細菌」「腸内フローラ」「腸活」という言葉があります。生死に直結する心臓や脳だけでなく、腸が注目を集めてきているのです。実はこの腸こそが私たちの健康に大きな影響を与えているのだと、だんだんわかってきました。
1000種類以上も存在する腸内細菌
日本人の腸は小腸が長さ平均6~8m、大腸が約1.5mあり、内部の総面積を計算すると、なんとテニスコート1面分に相当する広さになります。これだけのものがお腹のなかにあって、生きていくうえで大切な働きをしているのです。
そしてこの腸内の環境を左右するのが、1000種類以上、100兆個以上も存在するといわれる腸内細菌なのです。
彼らは宿主であるヒトと共生関係にあり、ヒトが毎日摂る食物の栄養素をエサにして増殖し、さらにさまざまな代謝物を生成することで、私たち人間の体に大きな影響を与えているのです。
腸内細菌は腸壁の粘膜にびっしり生息し、その総重量は約1.5kg。腸内にさまざまな種類の細菌が生息している様子を腸内フローラ(腸内細菌叢)といいます。それはまるでお花畑のようです。
この腸内フローラを正しくコントロールし、改善するのが腸活です。
世界中の研究者から近年、腸内フローラには熱い視線が送られており、研究論文の数も直近10年ほどで急激に増えています。研究者たちの努力や成果もあり、腸内細菌の理解は大きく前進しました。
私も毎日、患者さんの腸内細菌検査をしています。
そのなかで、100歳を超えても病気を持たず、たとえ病気になっても重症化せず、すぐに回復する人がいます。そのような健康長寿の人の便を調べると、ある種類の腸内細菌がたくさん見つかります。
それこそが「ミラクル腸内フローラ」である「酪酸菌(酪酸産生菌)」なのです。
「酪酸」とは、腸内細菌の「酪酸菌」が食物繊維を発酵・分解して作り出す「短鎖脂肪酸」の1種です。短鎖脂肪酸には酪酸のほかにも「酢酸(さくさん)」や「プロピオン酸」などがあり、代謝や免疫、メンタルなどの働きをサポートしています。
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