京急の得意技「駅名もじり」これまでと違う新展開 東洋水産とコラボ、私鉄・食品会社の意外な相性
三崎口・品川・上大岡では駅構内をQTTAの広告がジャックした。とくに品川駅では随所に俳優の香川照之さんの顔が大きくデザインされた広告が駅利用者に向けて「あなたも、クッタら、わかります!」などのメッセージを放ち、ドラマ「半沢直樹」を思い起こさせる強烈な印象を与えている。香川さんは2020年9月からQTTAの“戦略担当常務”を務めている。
キャンペーンの舞台は鉄道だけでない。グループの流通部門では、京急ストア・もとまちユニオンで、1会計でQTTAを3点購入するとオリジナルデザインの「お箸」の特典を付ける。さらに、東洋水産の商品を対象にしたポイントボーナスを同時開催する。
京急グッズショップ「おとどけいきゅう」と、セブンーイレブン京急ST店・京急ストアの一部店舗では駅名看板をデザインしたグッズを販売する。
今回の企画の大きな特徴は、リラックマ、北斗の拳などのキャラクターでなく食品メーカーの商品を主役にしたコラボという点だ。企業がPRをしたい商品の認知度向上だけでなく、京急にとっても、グループ会社のスーパーマーケットなど流通事業の売り上げへの波及効果が期待できる。
コラボ企画の効果は?
京急電鉄営業企画課の森山千里さんは東洋水産とのコラボのきっかけについて「当社は電車のラッピングで広告を入れてもらったり、京急ストアは商品の仕入れなどの取引があったりと、もともとつながりがあったが、グループで取り組んだほうが多角的にPRを展開できると考えた」と明かす。
装飾を施した駅名看板は、北斗の拳のコラボなどで話題になり「鉄道の現場からも『今度は何やるの?』と興味を持ってもらえていることが後押しになっている」(森山さん)という。京急社内では受け入れられやすい土壌があるが、食品メーカーとのコラボはこれまでになかった。
京急ストア営業計画部マネジャーの武石和馬さんは「京急は沿線にいろいろな施設があるのでグループ全体で取り組めるのが強みになっている。足並みを揃えて、日々バイヤーたちが信頼を積み重ねている取引先との企画をやっていきたい」と力を込める。
仕入れを担当する社員はどう受け止めているのか。商品部第3グループマネジャーの高橋享二さんは「キャンペーン開始以降、カップラーメン全体の売り上げが前年同期に比べ1.2~1.3倍に増えた。あれだけ駅で大々的にやっていると帰りに店舗で商品を手に取ってしまうのでは」と話す。バイヤーの伊藤健治さんも「商談でほかのメーカーさんを回っていても、結構ざわついている。今回の成功を軸にもっと展開していきたい」と手応えを感じているようだった。
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