ロシア政府「サイバー攻撃」の明確なターゲット アメリカの原発、サウジ石油化学工場…

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バイデン大統領は先日、ウクライナ侵攻に強硬に反対した国々に対する報復として、ロシアがサイバー攻撃を行う可能性があると経済界に語ったばかり(写真:Ting Shen/The New York Times)

アメリカ司法省は3月24日、カンザス州の原発などアメリカの重要インフラやサウジアラビアの石油化学工場にサイバー攻撃を行ったとして訴追したロシア政府当局者4人の起訴状を公表した。

今回の発表は2012年から2018年までのハッキングが対象だが、ロシアのサイバー攻撃についてバイデン政権として改めて警告を発した格好だ。大統領ジョー・バイデンはこの数日前、ウクライナ侵攻に強硬に反対した国々に対する報復として、ロシアがサイバー攻撃を行う可能性があると経済界に語ったばかりだった。

司法省副長官リサ・モナコは声明で「本日公表した起訴状は過去の活動に関するものだが、アメリカ企業が防御を強化し警戒を怠らないことが、引き続き喫緊の課題であることを明らかにしている」と述べた。「ロシア政府が支援するハッカーは、アメリカと世界の重要インフラに深刻かつ絶え間ない脅威をもたらしている」。

重要インフラに迫る「暗黒の技術」

ロシアの諜報機関、連邦保安庁(FSB)の3人を含む4人のロシア当局者は世界中で数百のエネルギー企業に侵入したとして訴追されており、このことは「暗黒の技術が実行可能」であることを示していると、司法省の担当者は報道陣向けのブリーフィングで語った。

今回公表された起訴状は、基本的にサイバー犯罪の研究者がかねて指摘してきたとおりの内容となっている。ただ、これらの攻撃で訴追されたロシア当局者はまだ、1人も逮捕されていない。

21日に発した警告の中でバイデンは、民間企業にサイバー攻撃対策を強化するよう促した。国家安全保障の専門家も、異常な活動を発見した企業は連邦捜査局(FBI)など、不正侵入リスクに対応できる機関に報告すべきだと話している。

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