信州・上高地線、22年ぶり新車で描く「復旧後」の道 元東武電車を大改造「顔」はオリジナルデザイン

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カラーリングは、正面が従来車両やアルピコグループのバス・タクシーなどで親しまれる、白地に5色のラインを配した「ダイナミックストライプ」。従来車は側面も同様だったが、今回は「新しい車両」を印象付けるため、ステンレス地の銀色に青いラインを入れた新デザインにした。

内装は壁面の化粧板をすべて張り替えて座席も変えたほか、通路上には行先や次の駅名などを表示する29インチワイドの液晶モニターを1両当たり6台搭載。モニターはドアの上に設置する例が多いが、「ドア上に取り付けると角度の問題で画面が見にくくなるため通路上にした」(隠居部長)という。また、電車内の防犯が課題となる中、ワンマン運転用の車内確認用カメラに加えて防犯カメラを1両当たり3台設置。コロナ禍での衛生意識の高まりに応じて「プラズマクラスターイオン」の発生装置も1両に4台取り付けた。

すっかり様変わりした車内だが、運転室の後ろには東武の電車で見かける「乗務員室立ち入り禁止」「立入ると鉄道営業法第33条によって罰せられます」との注意書きが。「かけこみ乗車はおやめください」「開くドアにご注意ください」などのステッカー類も東武のスタイルだ。これらは改造前のまま残したのではなく、「東武リスペクト」で同じデザインを再現して新たに張り付けたという。「(社員に)好きな人がいるんですよ」と隠居部長。車両への愛情や敬意が感じられるエピソードだ。

「箱と台車」以外はほぼ新品

中古車ではあるものの、「活用したのはほぼ箱(車体)と台車だけと言ってもいいくらい」(隠居部長)という20100形。制御装置も省エネ型の新品に取り替え、アルピコ交通では初のインバータ制御を採用した。「性能的には(JR東日本の新潟地区などを走る)E129系などの兄弟」といい、長野県内の鉄道でいえば、しなの鉄道の新型車両とほぼ同じということになる。従来車とは違うシステムの車両だが、検査設備などを増やす必要はなく、メンテナンスはかえって楽になるという。

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