
としま・いつお 1948年生まれ。一橋大学卒。邦銀を経てスイス銀行外国為替貴金属トレーダーなど。現在は独立系の立場から経済情報を発信。

最悪のリスクシナリオについて検討が必要な状況になりつつある。
3月4日午前、ロシア軍がウクライナの原子力発電所を砲撃した、という報道が飛び込んできた。深夜の米ニューヨークの金融市場も一時騒然となった。
砲撃報道の前日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがロシア国債を格下げしていた。投機的水準への大幅な格下げで、デフォルト(債務不履行)の懸念が高まった直後だった。
ロシア国債のデフォルトのリスクを注視しなければならない。ロシアはブリンクマンシップ(瀬戸際戦術)を取っている。米国など西側諸国が、ロシア国債のデフォルトをあえて放置するような姿勢を見せれば、ロシアは報復として核を一段とちらつかせるのではないか。
今後、ウクライナの国内核施設への砲撃や占拠を拡大すれば、NATO(北大西洋条約機構)との緊張感が高まり、新冷戦も本格化する。米国やNATOが本格的にレーダーや核兵器の照準をロシアに合わせるようなことが話し合われ、核戦争の脅威が現実味を帯びるような事態になれば、金融市場も大きく揺らぎ、株価は大暴落する。
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