民主党、「岡田vs.細野」の泥仕合が始まった 出遅れの岡田氏が細野氏を攻撃

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それを暴露したのが岡田氏だった。8日に日本記者クラブで開かれた討論会で、細野氏と激しいやりとりを繰り広げている。「細野氏は『民主党が維新の党と合併するのは難しい』と言ったが、11月19日に長島氏や松本氏と一緒に私や海江田万里代表(当時)のところに来て、『衆議院だけでも維新の党と合併すべきだ』とかなり強く提案してきた。あれは何だったのか。きちんと説明してほしい」。

岡田氏のこの問いかけに対し、細野氏は、「やや残念だ。というのは、政治家同志のきちんとクローズドの場所で話したことを、こういう場所で公開で質問されること自体、岡田氏らしからぬことをされたと思う」と述べた上で、こう釈明した。

「維新の党側からひとつのサインとして、『関西を切り離すことも考える』という案がきた。考えが一致しない人と一緒にやるのは難しいと思っていたが、すでに選挙区調整は始まっており、残念ながら地域の軋轢も出ていた。中途半端に棲み分けをして『打算的だ』と見られるより、そこまで(注:衆議院での維新の党との合併)やるのも選択肢ではないかと言った。考えが一致しないと一緒にやれないというのは変わらないので、私の考えにブレがあるわけではない」。

禍根を残す可能性も

ひとまずはおさまったが、このやりとりは後に禍根を残すかもしれない。すでに前日の共同記者会見で岡田氏は、自誓会の立ち上げの経緯を話した細野氏に対して「党の中で派閥のようなものを作ってはいけない。日本の政治を悪くしたのは派閥政治だ」と批判。両者の間の火花が話題になるとともに、「あの冷静な岡田氏らしくない発言が続く」と驚きの声も上がった。

ちなみに8日夜になって、細野氏は「維新側から打診があったわけではない。1つのアイデアとして浮かんだもの」と訂正している。再編を巡る経緯について、この後にも泥仕合が続く可能性がある。

日本記者クラブから記念に贈呈されたネクタイ。岡田氏と長妻氏は緑色のものを選び、細野氏はシルバーにピンクのドット入りのものを選んだ。代表選の選択肢も、事実上、岡田氏か細野氏の2つに1つといえる。そのどちらを選ぶかによって、党再生を含めた民主党の将来が決まるのかもしれない。

(撮影:尾形文繁)

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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