有料会員限定

恐慌後の経済「経済的孤立」という神話 誤った認識で暴走した日本

印刷
A
A

1930年代にダンピング輸出をして世界的に孤立した──。そんな誤解が今も流布している。

NY市場の株価大暴落(1929年)の前に、日本では金融恐慌(27年)が起きていた。預金引き出しを求めて銀行に殺到する人々(読売新聞/アフロ)

特集「学び直しの「近現代史」」の他の記事を読む

1929年の米ニューヨーク証券市場の大暴落をきっかけに始まった世界恐慌は、30年代の世界経済を混乱と停滞に陥れた。

その中で日本はダンピングにより輸出を急増させ、世界からの反発を招いたとされる。だが、各国からの反発は事実ではあるが、それがいわゆるABCD包囲網(米国、英国、中国、オランダによる排日的な経済連携策)を招き、苦しめられた日本が自ら戦争に突き進んだという、多くの人が信じ込んでいるストーリーは間違いである。戦前の日本の輸出はそれほど伸びていなかった。

なぜ、日本人は当時、輸出が急増し、それゆえ世界が日本を非難し、日本の発展を妨げるために関税を引き上げたと思い、現在もそう思っているのだろうか。

日本人が、恐慌時、日本の輸出が急増していると誤認した理由は2つある。

1つ目は、円建てでの名目輸出額を見ていたことである。名目輸出額が急激に伸びたのは、為替が下落して円建てでの輸出額が増加したからであった。為替下落(円安)で輸出採算が回復し、日本企業は恐慌から脱却できた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
トヨタ国内販売幹部が交代、増える受注残に危機感
トヨタ国内販売幹部が交代、増える受注残に危機感
パナソニック「指定価格」導入に揺れる家電量販店
パナソニック「指定価格」導入に揺れる家電量販店
ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然
ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然
「カップ麺の牛乳戻し」、子どもの食生活が危機的だ
「カップ麺の牛乳戻し」、子どもの食生活が危機的だ
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内