いくつもの要素が重なり高成長を達成。だが現代での再現は難しい。
1955年ごろから20年余り、日本は前例のない高成長の時代を経験した。高度経済成長と呼ばれた躍進ぶりは、「投資が投資を呼ぶ」と表現される時代をつくり出した。
60年、岸信介から政権を引き継いだ池田勇人首相は、「国民所得倍増計画」を掲げた。10年で国民総生産を2倍にする内容で、実現は到底不可能との大方の予想を裏切り、それを超える成長を実現した。
技術革新を目標とする主要産業における設備投資競争は、規模の経済の効果などもあって企業の生産性を高め、コスト低下によって日本製品の国際競争力向上に貢献した。こうして産業構成の高度化が進展し、少し遅れて輸出構成も高度化し先進国の仲間入りを果たした。
経済成長は国の総産出量で測られるから、人口増加なども重要な要素となるが、それ以上に重要なのは、働き手1人当たりの産出量の増加をもたらす産業ごとの生産性上昇であった。また、高生産性分野へと産業構成が変化することで国全体では成長のテンポも速くなる。このように高度成長は、人口の増加、産業ごとの生産性の上昇、そして産業構成の変化の3つの要因によって実現した。
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