コロナ禍で名作の争奪戦に、7兆円アート市場の狂騒 Part1 アートビジネス編

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世界的なカネ余りで、現代アートの価格が高騰。日本のコレクターも参戦する。

2020年10月、オークション会社のサザビーズが香港で開催した現代アートのオークションで、人気の現代アート作家ゲルハルト・リヒターの抽象画が約29億3500万円で落札された。香港のオークションで落札された欧米作家の作品としては最高額だ。激しい入札合戦の末、予想価格の約1.5倍で作品を落札したのは、ポーラ美術館(神奈川県箱根町)だった。

コロナ禍で世界経済が打撃を受ける中、オークションにおけるアートの売買は活況だ。リヒター作品の高額落札だけでなく、20年6月には英画家フランシス・ベーコンの作品に約91億円の値がついた。今年1月末には、ルネサンス期の画家ボッティチェリの自画像が作家にとって過去最高となる約96億円で落札されている。

とくに勢いがあるのが現代アートだ。冒頭のリヒターやベーコンに加え、バンクシーやジョナス・ウッドなどストリートアートの流れをくむ作家が買われている。

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本来ならば、先行き不透明なときには古美術や印象派のほうが人気は高いはず。現代アートはこれらに比べ、市場での評価が定まっておらず、買い支えてきた富裕層の購買力が落ちれば相場は崩れる。値下がりを恐れ、いい作品は売り渋られて市場に出てこない。

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