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日本美術を知る5作 美術史家・山下裕二が選ぶ

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縄文と弥生の2つの系譜が、日本美術の底流を成す。(作品模写イラスト:髙栁浩太郎)

日本の美術の特質は、縄文的なものと弥生的なものの「ハイブリッド」であることです。つまり日本美術の基底には縄文的なものが伏流水のように流れていて、その上に弥生的な地層が覆いかぶさっています。そして時々、間欠泉のように縄文的なエネルギーが噴出するのです。

縄文時代の火焔(かえん)型土器は、装飾的でエネルギッシュ。世界に類を見ない、日本オリジナルの造形です。それに対し、弥生時代の土器は調和の取れたフォルム、抑制の利いた文様が特徴で、大陸文化の影響を受けています。縄文は飾りの美、弥生は余白の美なのです。

火焔型土器・弥生式土器
(左)縄文中期(紀元前3000〜前2000年)、新潟県笹山遺跡出土、新潟・十日町市博物館蔵、国宝。(右)弥生時代、福岡県宗像市上八出土、東京国立博物館蔵

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縄文への再評価

しかし、縄文的な美は長い間、美術史において異端扱いされてきました。弥生的な美こそが日本的美だといわれてきたのです。

理由の1つは、茶の湯や禅にみられる「わびさび」の美意識が、日本文化を代表しすぎてしまったことです。日光東照宮の陽明門は極彩色の彫刻でびっしりと装飾され、縄文的建築美の代表格です。一方、同時期に創建された京都の桂離宮は、簡素で静閑な美をたたえています。どちらもすばらしい建築です。

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