現代美術は従来の価値観をひっくり返し、新たな価値を示してくれる。
音楽や文学と同じように、美術の歴史にも大小さまざまな革命が起こりました。新しいことをする人が次々に出てきた結果、われわれが知る現代美術にたどり着いたのです。
美術の考え方を変えた大革命が1917年にマルセル・デュシャンが制作した『泉』です。既製品の男性用小便器を置いただけで、これが作品だと主張しました。その後も、ヨーゼフ・ボイス、アンディ・ウォーホルらの作品を契機に、現代美術は少しずつ変容、進化を繰り返していきました。
現代美術は必ずしも美しいものだけではなく、また必ずしも精巧なものだけではありません。ではその役割とは何でしょうか?
1つは価値の転換です。今まで何とも思っていなかったものに価値を見いだしたり、新たに価値を与えたりする行為です。先ほどのデュシャンは、貴重なものが展示される場である美術館、博物館に男性用小便器を並べようとしました。
この発想の転換を400年前の千利休になぞらえる人もいます。利休はさっきまで生えていた竹を切って花入れにし、朝鮮の飯茶碗をお茶の茶碗に見立てるなど、価値を転換しました。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら