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作家のキャリア今昔物語 衰退する「画壇」の権威

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美術団体が時代に対応できない中、ギャラリーが作家の生命線に。

草間彌生は先に世界で評価され、それから日本で有名になった「逆輸入型」作家。2017年には都内に美術館を造った(草間彌生『マンハッタン自殺未遂常習犯の歌』2010年 ビデオプロジェクション、鏡 サイズ可変、1分17秒 ©YAYOI KUSAMA)

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日本で半世紀以上の伝統を持つ日展や日本美術院(院展)などの美術団体は優れた作家を多く輩出し、いわゆる「画壇」を形成してきた。作家の「出世すごろく」なるものがあるならば、本来その「上がり」に近い場所に位置するのが日本芸術院である。「芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関」として設置された国の組織だ。

そのあり方の本格的な見直しが始まり、検討会議の第1回が2月1日に開かれた。

見直しの目的は、美術部門の会員が一部の美術団体の所属作家に偏っており、現代アートの作家がいない不自然な現況の是正を図ることとみられる。昨年12月に発表の新入会員の顔ぶれを見るだけでも、状況がわかる。美術部門で会員になった美術家と書家5人のうち3人が日展、1人が院展、1人が二科会。すなわち5人全員が伝統的な美術団体の所属だ。美術部門の現在の会員は47人。うち約6割を日展の作家が占め、建築分野を除けばすべて団体の作家だ。

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