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見るべき西洋美術10作 Part3 教養編|作家・中野京子が選ぶ

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西洋絵画は、「静、動、静、動」の繰り返し。絵の意味を知れば見方が広がる。(作品模写イラスト:北村ケンジ)

西洋絵画史の流れをいささか乱暴にいうならば、「静、動、静、動」の繰り返しです。宗教画中心の中世が終わり、ルネサンスが始まってからが、私たちの知る「名画の時代」といえるでしょう。ルネサンスとは「古代的人間賛歌の復興」といった意味です。中世には許されなかったヌード画が現れました。

やがて上品で静的なルネサンス絵画は飽きられ、画面に激しい動きのあるバロックの時代へと移ります。バロックが極まると食傷気味となり、先祖返り的な新古典主義が席巻、王侯貴族好みの甘いロココと並行します。ここからは変化のスピードがアップします。

間もなくバロックをもっと激しく劇的にしたロマン主義が現れ、それでは芝居じみているから現実に即せとばかり、写実主義が登場。それもつまらんと、インテリ向きの象徴主義が対抗します。

ナポレオンが造った公共美術館が各国に広がり、芸術絵画を見られるようになった庶民(それまでの絵画は教養ある上流階層のものでした)は、神話や歴史やシンボルなどはよく理解できないからと、見てすぐわかる絵を求めました。

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