成城石井、ミニストップが踏み込んだ新領域 「お酒も飲める」店を出すワケ
ミニストップは、2005年よりカフェ業態の検討を開始。2006年にはミストカフェを実験店として出し、コンビニにカフェ需要が隠れていることを認識。2009年には全国のミニストップで淹れたてコーヒーの展開を開始した。その後、テイクアウトコーヒー市場の拡大、女性客のライフスタイルの変化に対応して、シスカの開発に着手した。シスカは今後、東京都心を中心に店舗網を広げていく予定だ。
激化するイートイン型市場
成城石井やミニストップのような小売企業が、飲酒も可能な外食分野へ乗り出している背景には、それぞれの市場における競争激化がある。コンビニを例に取れば数年前からイートインスペースの拡充により、カフェやファストフードの顧客層、特に「お一人様」女性のランチや休憩場所としての需要を取り込む事に成功した。併設された店で実際に食べてみて、飲んでみて、気に入ったら購入する。違えばほかの商品を探すということも可能になる。飲食により滞在時間も長くなり、店に対する親しみもできる。
ただ、コンビニのイートインスペースでは原則として飲酒を禁止している店舗がほとんど。ミニストップはさらなる差別化のために、飲酒も可能な店舗形態の展開に踏み込んだというワケだ。
小売企業をめぐる競争環境は、何も同業のリアル店舗同士の戦いに限らない。EC(電子商取引)の発展により、雑貨や日用品、食品などもネットで買える時代になってきた今、ネットの世界もライバルとして意識したうえで、店舗におけるお客のリアルな体験が重要になってきている。わざわざ来店してもらって購入してもらうには、モノではなく来店する事に価値観を与える事が急務だからだ。
まだ動きは小さいが、これは外食企業にとってみると脅威の端緒になるかもしれない。小売業でもこうした付加価値を持った店が増えると、「居酒屋」「カフェ」「ファミリーレストラン」など特定ジャンルの外食店との境目があいまいになりうるからだ。これまでのように特定ジャンルの店をつくれば、それにめがけて一定の客が来てくれるという時代ではなくなってきているという、時代の変化も映している。
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