進化する自動改札機、世界初の遅延証明も!

小田急が先行、「IC革命」が静かに進行中

その後は、自動券売機での切符の購入などでは引き続き、利用が可能であったが、これらが今回、完全に終わる。以後は、2018年1月31日まで、残額の無手数料払い戻しにのみ応じることとなっており「パスネット」の歴史そのものが閉じる。

ICカード導入で「メンテナンスフリー」に

日本で初めて自動改札機を導入したのは、1927年に開業した東京地下鉄道(現在の東京メトロ銀座線)である。これは10銭硬貨を入れるとロックが外れ、腕木を押すと1人だけが通れるという機械式のものであった。

現在につながる磁気式乗車券を使用するタイプは、1969年に近畿日本鉄道が導入したのが始まり。関西の大手私鉄では、合理化にもつながるため、自動改札機の導入が1970年代から積極的に行われた。1971年の札幌市営地下鉄南北線などのように、開業当初から全駅に自動改札機を導入した鉄道も現れている。

ただ、国鉄・JRや関東の大手私鉄における普及は遅れ、本格的に設置が始まったのは1990年代に入ってからであった。いずれも乗車券の裏面に書き込まれた磁気コードを機械で読み取る方式で、利用者は自動改札機に切符を差し込んで通し、正当なものであれば扉が開くという基本に変わりはない。

その後、乗車券を購入することなく、プリペイドカードを直接、自動改札機へ通せば乗車できる方式(「パスネット」をはじめ、「イオカード」「スルッとKANSAI」など)が現れたが、これも裏面の磁気コードを読み取ることについては同じだ。

切符、カードをスムーズに通し、書き込まれた情報をチェックする部分のメカニズムは複雑で、機械的に動く多くの部品からできている。それゆえ損耗があり、定期的なメンテナンスが不可欠。駅で係員が自動改札機の蓋を開け、内部を点検、整備している場面を見たことがある人は少なくないだろう。

革新的な進歩は、ICカードの導入とともに始まった。カード内のチップに書き込まれた情報を、カードに触れることなく機械が読み取る(それゆえ非接触式と呼ばれる)方式が開発されたことにより、メンテナンスの手間、ひいては運用コストを大きく削減できる見通しがついたのだ。

この方式は微弱な電波を使用しており、ICカードは自動改札機の読み取り部分に「かざす(すぐ側まで近づける)」ことで読み取りが可能である。定期入れやカバンなどに入れたままでも通過できるのは、そのためだ。

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