生活に最も影響を及ぼすのが電力の途絶
──報告書は、電力供給に関して厳しい想定をしていますね。
首都直下地震は北関東を含めてさまざまな場所で起こる可能性がある。東京の直下だけで起こるわけではない。そのことについて、しっかりと認識しておく必要がある。ワーキンググループでは、そのうち最も被害が大きい「都心南部直下地震」を基に被害を推定した。
報告書を読んでもらえば分かるが、被災者の生活に最も影響を及ぼすのが電力の途絶だ。報告書では、「震度分布によっては東京湾沿岸の火力発電所の大部分の運転が停止することも想定されるが、電力事業者の供給能力は、関東以外の広域的な電力融通を見込んでも、夏場のピーク時の需要に対して約5割程度の供給能力となることも想定される」と指摘されている。また、「最悪、5割程度の供給が1週間以上継続することも想定される」とも記述されている。つまり被害が非常に大きいということだ。
しかし、実際にはさらに厳しいかもしれない。首都直下地震時の想定は東京電力の自己想定の結果に基づいている。あくまでも地震発生に伴う運転停止と送電施設の破損による停電で、設備の大規模な損壊は想定していない。しかし、火力発電所には1960~70年代に建設されたものも少なくなく、耐震性の不十分さや老朽化も懸念される。
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