「首都水没を想定し、企業は事前に復興計画を作れ」 【プラスオリジナル】河田惠昭・人と防災未来センター長に聞く

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河田惠昭(かわた よしあき)/1946年生まれ。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。京都大学名誉教授。関西大学理事・社会安全研究センター長・教授。専門は防災・減災、危機管理。東日本大震災復興構想会議委員、日本自然災害学会会長などを歴任。著書に『津波災害』(岩波新書)、『日本水没』(朝日新書)など(記者撮影)

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週刊東洋経済 2020年2/1号
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内閣府の中央防災会議は「大規模水害に関する専門調査会報告(首都水没~被害軽減のために取るべき対策とは~)」を取りまとめて公表している。東日本大震災のおよそ1年前に当たる2010年4月のことだ。
同報告書では、荒川や利根川の堤防が決壊して浸水被害が起きた場合のシミュレーションを実施。例えば、東京都北区志茂で荒川の堤防が決壊した場合、わずか12時間で浸水域が大手町や丸の内、有楽町などの都心部に達すると想定されている。この場合の浸水区域内の人口は約120万人、東京電力による想定結果として、停電軒数は約121万軒に上るという。受電設備や配電盤など顧客設備の被災による停電を含めると停電軒数はさらに増大するとも報告書は指摘している。
電力の途絶は、通信や上下水道などほかのライフラインの供給停止をも引き起こし、企業活動や住民の生活に深刻なダメージを与える。
専門調査会で副座長を務めた河田惠昭・人と防災未来センター長(関西大学教授)に、首都圏など大都市を襲う水害の脅威と必要な対策について聞いた。

「首都水没」になりかねなかった

──首都東京を襲う水害の危険性は、首都直下地震ほど知られていません。専門調査会報告書は、その恐ろしさ、影響の大きさを詳しく記しています。とりわけ、電力が途絶した場合の影響は深刻です。

これまでの災害では、停電は被害の一つという扱われ方をしてきた。しかし、今は違う。停電が新たな災害になっている。電力が途絶すると、ほかのライフラインもことごとく機能がマヒし、社会の動きが止まってしまう。最近になってそのことが認識され始めた。

──2019年10月に東日本を直撃した台風19号では、国土交通省・荒川下流河川事務所(東京都北区志茂)付近の観測地点で、水害が起きかねない「氾濫危険水位」までわずか53センチメートルという高さまで荒川の水位が上昇しました。

かなり危うい状況だった。水位が上昇した時間帯が運よく干潮に当たったため、河口に向かってうまく水が流れた。荒川の下流には、鉄道の鉄橋の付け根の部分で堤防がくぼんでいる場所もあり、以前から危うさが指摘されていた。万が一にもそうした場所から氾濫したら、それこそ報告書が指摘している「首都水没」になりかねなかった。

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