「首都水没」になりかねなかった
──首都東京を襲う水害の危険性は、首都直下地震ほど知られていません。専門調査会報告書は、その恐ろしさ、影響の大きさを詳しく記しています。とりわけ、電力が途絶した場合の影響は深刻です。
これまでの災害では、停電は被害の一つという扱われ方をしてきた。しかし、今は違う。停電が新たな災害になっている。電力が途絶すると、ほかのライフラインもことごとく機能がマヒし、社会の動きが止まってしまう。最近になってそのことが認識され始めた。
──2019年10月に東日本を直撃した台風19号では、国土交通省・荒川下流河川事務所(東京都北区志茂)付近の観測地点で、水害が起きかねない「氾濫危険水位」までわずか53センチメートルという高さまで荒川の水位が上昇しました。
かなり危うい状況だった。水位が上昇した時間帯が運よく干潮に当たったため、河口に向かってうまく水が流れた。荒川の下流には、鉄道の鉄橋の付け根の部分で堤防がくぼんでいる場所もあり、以前から危うさが指摘されていた。万が一にもそうした場所から氾濫したら、それこそ報告書が指摘している「首都水没」になりかねなかった。
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